たこわさ

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Fate/stay night [Unlimited Blade Works] #13「決別の時」感想

原作プレイ済み。映像化作品全て視聴済み。
なお、#15までは先行上映会でオリジナルバージョンを視聴済み。
(以下ネタバレ)

あらすじ

セイバーを失い、重傷を負った士郎だったが、彼の心は折れていなかった。傷付いた体を引きずりながらも、再び戦場へ――。

一方、凜はキャスターが言峰教会に潜んでいる事を察知し、アーチャーと共に戦いに挑む事に。正面から戦いを挑む事に難色を示すアーチャーだったが、凜は絶対の自信をもって教会に乗り込む。

凜に少し遅れて、士郎も教会に辿り着いていた。荒らされつくした教会の奥へ奥へと進んだ彼の目に飛び込んできたのは、キャスターと対峙する凛達、そして拘束されたセイバーの姿だった。

必勝の策をもってキャスターに戦いを挑む凛。予定通りに凜がキャスターを、アーチャーが葛木の相手をする――はずだったが、突然アーチャーが凛に攻撃し、葛木を守るかのように立ちはだかってしまう。

戸惑う凜を前に、アーチャーは静かに切り出す、キャスターに降る、と――。

#13 決別の刻

#13 決別の刻

感想

第1シーズンは士郎がサーヴァントを失い自らも重傷を負い、文字通り無力になってしまった所で終わりましたが、第2シーズンの第1話である#13では、なんと凜がアーチャーに裏切られる形でサーヴァントを失ってしまいました。原作でも「うわー、ここからどう逆転するんだ!?」と盛り上がった件なんですが、今回のアニメでもその絶望感と期待感を見事に演出してくれましたね。

さて、凜の事を突然裏切ってしまったアーチャーでしたが、何やら思惑があるようでいくつかの布石を打っていますね。
一つは、凜の「後悔した事はあるか?」という質問に対して、「凜は決して過ちを犯さない、後悔しない類の『鮮やかな』人間だ」と答えた事。アーチャーは決して甘言を弄する類の人間ではありませんから、この発言はお世辞などではないという事が分かります。そんな彼が、自らの裏切り、という最大の「失敗」を凜に見せつけた理由は一体何だったのか?

二つ目は、アーチャーがわざわざキャスターの正体を明かした事。キャスターに降るわけですから、彼女の不興を買うようなリスクは普通に考えると侵さないはずです。しかし、何故かキャスターが最も嫌う「魔女」という言葉まで使って彼女の正体――王女メディアについて語ってみせる。何か意図があると考えるべきでしょう。キャスターを評した「逃げるだけなら当代一」という言葉も意味深。

三つ目は、わざわざ凛の命を助け、挑発までしている事。しかも今回はあれだけ付け狙っていた士郎の事も見逃しています。そもそも、あの場に士郎がいた事に気付いていましたから、凜の身に危険が迫った時に士郎がどう行動するかも予想がついていた事でしょう。
かように不可思議な動きを見せるアーチャーですが、キャスターのサーヴァントになった事で大きな制約を受ける事になるはずで、どうにもその真意が見えてきませんね。

また、アーチャーが凜を裏切る最後の一押しとなったのは、凜が士郎にセイバーを返すためにキャスターを倒そうとしている、という本音を聞いてしまったからかもしれません。凜のその言葉を聞いた瞬間に止まった彼の歩みからは、小さな仕草からは想像もできない感情の波を感じてしまったり。

アーチャーが含みのある動きをする一方で、士郎は実に真っ直ぐでなんとも気持ちがいいですね! 凜の心情を正確に察して気遣い、結果として「あの」遠坂凜を泣かしてしまうという偉業を達成!(笑) しかも、いつもは凛と正面から向き合っているだけで照れて「負けて」しまっていた士郎が、遂に「告白」までしちゃって!

士郎って何も分かっていないようで、実は一番大切な所は抑えているんですよね。凜は「失敗した」のであって「間違えた」訳ではない、というのはアーチャーの言葉と似通った、凜の本質を実に的確に評した言葉ですし、凜に「なぜ助けたのか?」と問われた時に、「命の恩人だから」ではなく、自分自身の情動として凜を助けたかった――憧れていた同級生であり、身近な存在になったらますます好きになってしまった一人の女の子を守りたかった――事を素直に告げるとか、その時一番必要な、建前ではない言葉を言えるんですよね……。そりゃあ遠坂さんも籠絡されるわw

士郎が凜に「告白」して凜もまんざらでもないというラブラブ展開はニヤニヤものですが、彼らを取り巻く状況は絶望的です。二人ともサーヴァントを失い、他に頼れる味方もいない。そんな状況を彼らがどう覆していくのか……虚淵作品だったらそのままバッドエンドですが本編は奈須きのこ作品なので、原作を知らない皆さんはどうか安心して(?)続きをお待ちください(笑)。

そして今回のキーポイントは、どうみてもアーチャーが凜の太ももを観察しているようにしか見えなかったあのシーン――ではなく、凜のペンダントは士郎が持ち帰っていたはずなのに、何故か凜の家にはもう一つ同じものがあった、という事実。
もう一つのペンダントを持ってきたのはアーチャーですが、彼はどこからどうやって何のつもりで凜にあのペンダントを渡したのか? 凜は「ペンダントが二つある」という事実から何かを察してしまったようですが……。まあ、アーチャーの正体についてはFateルート(ディーン版アニメで描かれたセイバールート)と違って結構あからさまに伏線が張られているので、察しのいい人はどんなカラクリが隠されているのか、そろそろ仮説が固まってくる頃だとは思いますが……。

今回のアニメで残念なのは、Fateルートでは全く謎のまま終わったアーチャーの正体が、本編Unlimited Blade Worksで徐々に明かされていくというドキドキ感を味わえない事。もちろん、まさかFateルートから作り直すわけにはいきませんから、無理からぬ事なんですが。それでも、このクオリティで

時間を稼ぐのはいいが――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?

というFate/stay night最高の名シーンを観てみたかったなぁ、等という欲深い願望を抱いてしまいます。まあ、つまりはそれくらい今回のアニメの出来が良い、という事なんですが。

ring your bell(期間生産限定アニメ盤)(DVD付)

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しっかし、OPもかなりやばかったですが、EDの映像と曲の美しさはまた異常なレベルでしたね。とりあえずCDポチりましたw