たこわさ

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東京喰種√A 第9話「街望」感想

原作一部既読。第一期視聴済み。
(以下ネタバレ)

あらすじ

CCGにより「梟」の討伐作戦が実行される。SSSレートと言う常識外れの喰種との戦いを前に、作戦に参加する捜査官達はそれぞれ遺書をしたためる。歴戦の捜査官達は「いつものこと」と覚悟を決めていたが、新人捜査官である政道は迫りくる死への恐怖に一人涙する。

決行当夜、既に覚悟を決めていた芳村達は、正面からCCG部隊を迎え撃つ。CCGの大戦力に対抗すべく昔の仲間を集め、今まで封印していた喰種としての殺戮能力を解放し、互角以上の戦いを繰り広げるあんていくの面々。しかし、CCGも数だけではなく歴戦の捜査官をも投入し、決死の覚悟で挑んでくるのだった――。

一方、あんていくが襲撃される事を知ったカネキは、再び20区へ。戦いへ赴こうとするカネキをニシキと月山が止めようとするが、カネキの意志は固かった。同じ頃、トーカもあんていくの危機を知り、ヨモの制止も聞かずに飛び出していってしまい――。

感想

極力人間を狩らず、彼らの社会に溶け込む事で共存する道を模索してきた「あんていく」の面々ですが、芳村に拾われるまでの彼らはやっぱり喰種らしい喰種で、大量の人間を殺し、捕食してきました。芳村がそうであるように、今穏やかに暮らせていても、心のどこかでは自らの罪――罪と呼ぶにはあまりにも酷な、むしろ原罪に近いそれ――を償う、ある種の「落としどころ」を求めてきた。他の喰種のように人間を捕食する事を娯楽とさえ捉えられていたら彼らも葛藤を抱える事が無かったはず。何とも皮肉な話です。
そして、罪を抱えながらもそれでも人間と寄り添う可能性を求めてきた彼らを、そうとは知らずに狩るCCGの姿もまた悲しい。「あんていく」のおかげで20区では喰種による犠牲者が激減しており、芳村はCCGが標的としてきた「梟」ですらない。恐らく、「あんていく」の支配がなくなれば20区は喰種にとっての空白地帯となり、今までよりも犠牲者が激増してしまう事でしょうが、それでもCCGは彼らを殲滅しなければならない。それが、彼らの使命だから。
人間を殺し喰わずにはいられない喰種と、同胞を守る為に喰種を駆りつくさなければならない人間。ある意味合わせ鏡のような存在ですが、もし個人ではなく組織レベルで共存を目指す流れが双方にあったのならば、結果は全く違ったはず。かつて芳村の妻が彼を愛し受け入れたように。でも、それが出来ないからこそお互いに殺し合うのですが。

トーカとニシキのように、人間を愛し共にいる事を望みそのために心を砕いてきた人々も、今回の事で共存の道を絶たれてしまいました。ニシキはある程度の覚悟を決めているようですが、トーカは……。
CCGの「正義」に基づいた行動が、人間も喰種も不幸にしていくというこの矛盾にみちた戦いは、一体どのような結末を迎えるのか? 原作読者としては、続編に繋げていくのかそれとも全く違うルートへ突入するのか、という点においても気になるところでしょう。