たこわさ

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純潔マリア LIBER VIII「LUPUS EST HOMO HOMINI」感想

原作は半分くらい既読。
(以下ネタバレ)

あらすじ

マーサが倒れた。マリアが不在の中、マーサの元にベルナールの使いが訪れ、彼女に高価な薬を施し救う。しかしそれはベルナールの策略の内だった。マーサが今まで頼っていたマリアの薬が毒薬であるという根も葉もない噂を広め、村でのマリアの評価を貶め、また「悪い魔女と戦う正しい教会」という価値観を巧みに村人たちへ植えつけていくベルナール。その様子をアンから伝え聞いたプリアポスは――。

感想

ベルナールさん、正体を現し始めました。強かなガルファをして「悪魔」と言わせしめるその内面は、やはり神の代理人などではなく自らの支配圏を広げようという私欲に満ちているのかもしれません。おまけに、マリアを貶める為の最終手段があんなこととは……。そりゃあ、天使らしき一群も人間のあまりの浅ましさに眉を顰めますわな。
ところで、マーサがマリアへの信頼を捨てて教会の教えに従った件ですが……あれって確実に一服盛られてますよね、マーサさん。ジルベールが最初に与えた薬は本物だったけれども、ベルナールが自ら訪れ与えた薬の方は、むしろ意識をもうろうとさせる類の毒だったんじゃなかろうか、と。まあ、ただ単にマーサが先の長くない自分を自覚して、残された家族に累が及ばないように教会の言いなりになった、というだけなのかもしれませんが。
マリア本人のうかがい知らぬところで彼女を追い詰める「人の悪意」による包囲網が敷かれつつありますが、そんな中でも純粋にマリアの傍らに立つと宣言するジョセフの存在がいかに頼もしい事か! 涙ながらにマリアを止めるエゼキエルも実に良い娘だし、マリアは親しい人々に恵まれているよな、と。何気にミカエルも人間達に対しては公生ながらも冷たいまなざしを向けているのに、マリアに対しては恩寵とも取れる態度を取っていますね。
しかし、今回マリアが戦を止めようとする根本的な理由が明かされるかと思っていましたが、まさかマリア本人もそれを忘れているとは。意固地になっている訳じゃなく、自分自身でも信念に取り付かれて目的を忘れてしまっていたのですな。