たこわさ

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蒼穹のファフナー EXODUS 第8話「平和を夢見て」感想

シリーズ全話視聴済み。
(以下ネタバレ)

あらすじ

巨大フェストゥム・ウォーカー率いる群れにより窮地に陥った島のファフナー達だが、島のコアから与えられた「新しい力」が目覚めた事により反撃に転じる。そして遂に一騎のマークザインと総士のマークニヒトが起動、ウォーカーはそれから逃げるかのように姿を消す。
かろうじて生き延びた彗達新人パイロットは、それぞれ死への恐怖や自らの弱さと向き合い、決意を新たにする。
一息つく暇もなく、一騎達を派遣部隊のもとへと送る計画が進められる。巡航運搬装置というおおよそ人間を運ぶものではない輸送機器を、更にマークザインとニヒトの同化能力を使って強化し最速で目的地に到達させる――あまりにも無茶な作戦だったが、誰一人として一騎達を死地に送るつもりはなく、彼らが派遣部隊を連れて無事に帰ってこれるよう、それぞれの最善を尽くすのだった。
一方、芹は、いつもの習慣から主のいないワルキューレの岩戸を訪れていた。乙姫とは大きく性格の異なる新たな島のコアであったが、芹は同じく岩戸を訪れていた総士と共に、彼女が乙姫と「何も変わらない」という事を確認し合う。その折、翌日が誕生日である芹に対し、総士は「何か欲しいか?」と尋ねる。それは、総士のあまりにも不器用な気遣いだったのだが、それを察している芹はただ、「希望」を見付けに行った広登ら派遣部隊と共に無事に帰ってきてくれればそれ以外のものはいらない、と答える。
――出発の朝、総士は乙姫の時と何も変わらぬ穏やかな関係を新たなコアと確かめ合う。そして、乙姫には託す事しか出来なかった自分だが、今度は共に歩もう、と約束する。そんな総士に素直な親愛の情を示すコア。だが、彼女には唯一の心残りがあった。まだ、自分には名前が無かった、それを知ってもらってから総士に旅立ってほしかった、と。しかし、総士はそんな彼女に対し、既に芹が名前を決めている事を伝え、憂いなく旅立っていった。


その頃、派遣部隊の面々は、膠着した戦況を前にその場から撤退できずにいた。あまりにも素早過ぎるフェストゥムの動きに、真矢はナレイン将軍の傍に人類とフェストゥム双方に情報を伝える存在――スパイがいるのではないかと推測し、溝口もそれに同意する。
――その時、状況が大きく動いた。巨大フェストゥムが遂にナレイン将軍らのミールを破壊したのだ。あまりの出来事に咄嗟には動けない溝口達だったが、真矢は一人冷静に、次のフェストゥムの狙いが美羽にある事を察し、仲間達を鼓舞しその場を脱する為に動き出す――。

感想

死闘を乗り越えた者達の、それぞれの交流が光るエピソードでした。後輩を心配するあまり自分の検査をほっぽり出して診察に駆け付ける剣司。彼に下心がないのは明らかですが、「診察」されている里奈の方はドキドキして気が気でない様子(笑)。咲良が来た時の「うわやべぇ!」という感じの反応をみるに……あれ結構剣司さんモテモテなの? と。まあ、肝心の剣司は咲良一筋なんで本当に他意はないんですが。
彗と零央の二人の関係も実に良いですね。彗は頭がよく回って他から頼りにされているようですが、その内面は家庭環境もあってナイーブ。そんな彗を気遣いつつも腫れもの扱いするのではなく、自分自身の思う所――今回の場合、剣で負けた悔しさ――をにじませる零央は、新人三人の中では精神的支柱なのかも。まあ、彗については拳骨で気合いを入れなおしてくれる愛しの里奈センパイがいるので、今後も大丈夫そうですが(笑)。……あれ、というか美三香どこいった!?
一騎、総士、剣司の三人については、もうお互いに以心伝心というか信頼関係の厚みが他と違うというか。総士は剣司にジークフリードシステムを託す事に何の不安も見せませんし、剣司は一騎と総士が必ず帰ってくると信じている。願わくば、この三人が仲良く穏やかに暮らす時間を見てみたいものですが……。
信頼関係といえば、以前にも描写のあった総士と芹の信頼関係も中々に見所でした。乙姫が一番信頼していた兄・総士。乙姫が一番親しかった友人・芹。二人は、乙姫を巡る同志とも言える関係。総士は、芹だからこそ新しいコアである織姫を託せたし、芹は総士の言葉であるから自信が持てた。なんかもう「お前ら結婚しろよもう」と言いたくなる程の信頼関係ですが、当の二人にはまるでそんな気が無いのが逆に凄い(笑)。いやまあ、あの不器用すぎる総士が頭でっかちな理屈から導き出した気遣いとはいえ、女性に誕生日プレゼントを贈るという発想に辿り着いた事とか、呆気にとられつつも総士の不器用さをよく理解していて温かいまなざしで「誤解されますよ?」とか答えちゃう芹の姿とか見るに、全く可能性がない訳ではないのですが、それでもお互い意中の相手いるし*1やっぱりそんな展開にはならないのであった。
――閑話休題
一騎と総士を送り出す為に全力を尽くす島の人々の姿も信頼の形でしたね。不安を覚えつつも、誰もが二人を、そして派遣部隊を無事に島へ帰す為に動くその一体感。「平和」とは程遠い状況ではありますが、多分島の人々全員の胸には「希望」という名の花が咲いているのではないでしょうか? 案外、島のミールが島民達に与えた新たな力とは、何もファフナーパイロット達をパワーアップさせる事だけではなく、その事だったのかもしれません。

一方、混乱の渦に巻き込まれた島外派遣組の方もきちんと信頼に基づいた役割分担をしている印象。情報を集める暉、豪胆な性格で逆境にもめげない広登、チームの頭脳・真矢、そして部活顧問の如く若者達を温かく見守り時に道を示す溝口――って、でもあれ真矢ちゃんが優秀すぎてなんか他のメンバーは上手に使われているような気も!w 的確な状況判断が出来て、優れた予測能力も有し、他を引っ張る強い意志があって、ファフナーに乗ったら鬼神の如き強さで、おまけに超かわいいって真矢さんチート過ぎます!*2

*1:総士はいまだに真矢への片思い継続中らしい描写があったものの、芹が広登と恋愛関係なのかどうかはちょっと微妙な描写でしたが。

*2:なお、真矢に加えて、何かと大事な役目を担ったりロングヘアになって一気に美人度が増した芹ちゃんが、本作品の二大ヒロインだと私的には思います! カノンは日陰花!(酷