たこわさ

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純潔マリア LIBER V「SAPERE AUDE」感想

原作は半分くらい既読。
(以下ネタバレ)

あらすじ

マリアは、相変わらずエゼキエルの目を盗んでは戦場への介入を続けていた。近隣でのマリアの影響力が増す一方、戦いが膠着状態に陥った事でいつまでも勝敗が付かず、軍資金もかさんでいく状況に領主達は頭を悩ませていた。
そこで一計を案じたベルナールは、自分の叔父でありマリアとのパイプを持つ領主ギヨームに、イングランド側に被害が偏るような情報のみを渡し、フランス側の勝利に貢献させようという策を提案する。異端をも利用しようとするベルナールの真意はいかに――。
一方その頃、傭兵団「赤腕の兄弟団」はトラブルに見舞われていた。ジョセフの知人でもある傭兵ガルファが、酔った勢いで騎士の恋人に手を出してしまい、怒り狂った騎士に一方的な暴行を受けてしまう。このまま騎士がガルファを殺してしまっては傭兵団との間にしこりを残し、騎士を止めれば騎士団の誇りを傷付ける事になる。判断に悩む領主ギヨームに、ベルナールは二人を正式な場で決闘させる事を提案する。
ガルファは騎士の暴行で腕を折られており、下馬評は圧倒的に騎士側有利に偏っていた。ガルファの身を案じるジョセフは、彼に逃げるよう進言するが――。

感想

一時的には戦場を鎮めたくさんの命を救っているマリアですが、長い目で見れば国や領主の軍備費がかさみ、それを補てんするために民への税金は増額、更には膠着状態が続くことで「平和」とは程遠い状態に陥っている訳で、一定の有用さを認めつつも彼女の存在が人々の悩みの為になっている事は間違いないようで。
そんな彼女を上手に誘導し、自分の考える「平和」の道筋の為に利用するベルナールは強かと言うか、魔女をも惑わす腹黒さというか。
天上の意志に抗うマリアや巨視的に物事を運ぶベルナールとは対照的に、地に足を付けて一歩一歩目的へと進んでいく強さを持つガルファや、知人や想い人の為に自分自身に何ができるのかという等身大の悩みを持つジョセフは非常に人間らしく。
心はジョセフ達と同じ人のそれでありながらも、マリアの目的は(無意識的にしろ)天の教会やベルナール達のような個人の意思を超越した所にあるわけで。どちらの道を選ぶのか、それともあえて狭間で悩み続けるのか、マリアが決断する日はくるのでしょうか?