たこわさ

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アルドノア・ゼロ EP15「旋転する罠 —Toll for the Brave—」感想

1クール目視聴み。
(以下ネタバレ)

あらすじ

マリネロス島の基地へ合流したスレインは、地球人という事を理由にマリルシャン伯爵、バルークルス伯爵の二人の火星騎士から反感を買い諍いとなってしまう。それを見咎めたザーツバルム伯爵は、その場の全員に向けてスレインを自分の後継者――息子とする事を宣言する。
一方、トライデント基地では地球軍が大規模作戦に向けた準備を進めていた。そんな中、火星の技術であるアルドノアを扱うデューカリオンのクルーに対し、他の部隊のメンバーは冷ややかな視線を送っていた。とりわけ火星人であるライエには嘲りに近い言葉が浴びせられるが、そんなライエに対し韻子は温かい言葉をかけその友情を示すのだった。
そして戦いは始まった。正面からぶつかり合う地球軍と火星軍の戦いの中、伊奈帆とスレインは再び対峙していた。互いに一歩も譲らぬ戦いが続くが、そこにディオスクリアIIを駆るザーツバルムが援軍として駆け付ける。
改良されたディオスクリアに苦戦する伊奈帆だったが、援護に駆け付けた韻子の協力もありディオスクリアのバリアを無効化する事に成功する。
だがその時、彼らの頭上にはスレインの仕掛けた罠が迫っており――。


感想

やはりスレインは、ザーツバルムに対し面従腹背を貫いていました。彼も伊奈帆のように、自分の中の優先順位を間違えない決意を固めたようです。しかし、情に弱い彼の性格は変わったわけではなく、自分を息子として扱ってくれたザーツバルムへの尊敬の念も全くの嘘ではなかった。伊奈帆のそれが兵士としての覚悟であるのならば、スレインの覚悟は修羅のそれ、と言えるのかもしれません。
ザーツバルムの満たされたような最期の表情も印象的でした。個人的な感傷から幾億の人々を死に追いやったその宿業から解放された喜びもあったかもしれませんが、何より「息子」と認めたスレインが自分を超えてくれた事に、何ものにも代えがたい満足感を覚えたのかもしれません。
しかし分からないのは、スレインがザーツバルムを殺害したその理由。もちろん、彼自身が語ったようにアセイラム姫を殺害しようとしたザーツバルムに対する不信が根っこの部分にあったのは確かなのでしょうが、スレインの目的の一つは虐げられた火星の下層民を救う事にあるはずですから、ならばザーツバルムの理念と実力はスレインにとっても有益なものだったはず。しかも、ザーツバルムはスレインを後継者として信頼していたわけで、恐らく時を置かずしてスレイン自身も強力な権力を有する未来が待っていたはず。にも拘らず、父親として真実慕っていたであろう存在であるザーツバルムを裏切ってまで殺害するその真意はどこにあるのか? スレインの目的の全てはまだ明かされていないのかもしれません。

スレインが修羅の道を行く一方で、伊奈帆達は絆の力を強めつつあります。いまだ戦力に大きな差がある相手に対し、連携でもって対抗していく――とりわけライエは自分を火星人と嘲笑した相手を助けるなど、兵士としての本分を貫く姿勢を見せています。同志としてまとまりつつある地球側と、スレインと言う獅子身中の虫を抱えた火星側、彼我の戦力差以上に戦況を左右する要素であるようにも見受けられます。

さて、1クール目最終話の頃から視聴者に示唆されていた伊奈帆が北欧神話の主神・オーディンになぞらえたかのような運命を辿っている件ですが、今回初めてカームの言葉によって作中で語られた事になります。スレイプニールを駆り、片目を代償に偉大な知恵を得、他の追随を許さぬ戦いぶりを見せる伊奈帆はまさしくオーディンの化身のようですが……オーディンラグナロク(最終戦争)で、フェンリル狼に喰われ最期を迎える運命にあるわけで、なんとも不吉な見立てであるようにも思えてしまいます。

今回ザーツバルムを殺害したのはスレインによる罠でしたが、それを発案したのは彼の腹心となったハークライトだったようです。超長距離の射撃を成功させるとは驚くべき頭脳と言えますが、伊奈帆が左眼の義眼により常人離れした分析能力を手に入れたように、スレインもハークライトと言う優秀な右腕を手に入れた、という奇妙な符牒は、今後も伊奈帆とスレインの運命がある種似通ったそれを辿るという事の示唆のようにも思えます。

ALDNOAH.ZERO アルドノア・ゼロ (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

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