たこわさ

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Fate/stay night [Unlimited Blade Works] #12「最後の選択」感想

原作プレイ済み。ディーン版及びFate/Zero視聴済み。原作ネタバレにならない程度で補足説明など交えて。
(以下ネタバレ)

あらすじ

衛宮邸に押しかけた凛は翌日、デートと称して士郎とセイバーを街へ連れ出す。士郎に「楽しい」という感情を素直に受け止めさせる為に、様々な策を巡らす凛。お互いの何気ない言葉に照れを隠せないなど、名実ともにデートの体をなすが、帰りのバスの中でデートが楽しかったかどうか尋ねる凜に、士郎はいつもの素直に楽しさを表明できない答え方をしてしまう。
業を煮やした凛だったが、その時、バスごと自分達がキャスターの結界に囚われている事に気付く。地の利を得、更には大河を人質に取り士郎に自分に降るよう勧告するキャスター。更には士郎の過去――10年前の聖杯戦争のせいで全てを失った事――を引き合いに出し、聖杯を分け与えるとまで提案する。そんなキャスターに対して士郎はあくまでも仲間にはならないと突き放す。
しかし、大河を解放する条件として令呪を要求されると、士郎は迷いなくそれを差し出そうとする。あまりの事にそんな士郎の意志を無視してキャスターへと突進するセイバーだったが、すんでのところで士郎が思わず令呪の強制力でそれを止めてしまう。
その間隙を見逃さなかったキャスターは、自身の宝具「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」によって士郎とセイバーの契約を解除し、セイバーを自分のサーヴァントにしてしまう。
最早絶体絶命と思われたその時、アーチャーが結界を破り救援に駆けつける。キャスターの令呪にギリギリのところで抗うセイバーの助力もあり、大河を連れて逃走する士郎と凜。
傷付き、セイバーを失った士郎。彼が絶対に戦う事を止めないと確信しながらも、あえて冷たい言葉で戦いから遠ざけようとする凛は、アーチャーと共にキャスター討伐に向かってしまう。
果たして、全てを失ってしまった士郎は再び戦う事が出来るのか――。


感想

あー、ここで1クール目終わりか、と残念がる暇もなく、エンディングテーマとして原作主題歌「THIS ILLUSION」がかかった瞬間にテンションが青天井。まさかここで原作オマージュをかましてくれるとは思いませんでした。2クール目が楽しみです。

凛とのドキドキデートはまさにニヤニヤもので、思わずセイバーと同じように二人を温かく見守る表情になってしまったのですが、あんなに楽しい時間を過ごしても揺るがない士郎の「病巣」の重さを思い知る事にもなり。
もっとも、その「病巣」故に大河の命を救う事が出来たのも事実。もちろん、セイバーを失ってしまうという聖杯戦争において致命的なミスを犯してしまったので、果たしてどんな選択が正解だったのか、単純に判断できるものでもないのですが。

また、実はこのエピソード、キャスターの甘さも浮き彫りになっているんですよね。いくら「面白い見世物」を見せてくれたからといって、大河を無傷で返すところに、キャスターと言う英霊の根っこの部分が表れています。アーチャーが「案外、根は善良なのかもしれん」と評したように、卑怯な態度の数々は彼女本来の性格に由来するものではない。この二律背反がキャスターの弱点でもあり、それはマスターである葛木との関係にも表れているのですが……果たして凛達はその弱点に気付き突く事が出来るのか?

そして最も重要な描写がアーチャーの正体に関してのそれ。凛はアーチャー本人に「セイバーゆかりの英霊ではないか」と色々と根拠を上げつつ質問をぶつけますが……本当は半分以上、アーチャーがどんな存在なのか気付いているんですよね。ディーン版で描かれたセイバールート「Fate」と違って、この凛ルート「Unlimited Blade Works」では結構あからさまにアーチャーの正体を示唆する伏線が張られていますが、今回の凛の発言はかなり核心に迫るギリギリのところ。ネタバレしていない方は、アーチャーの真名が明かされた後に本エピソードを見直すと「あー!」となる事でしょう。

小次郎アサシンは何だか酷い目に遭わされていましたが、散々憎まれ口をたたきつつもキャスターの本質を理解して一定の気遣いをしている事が分かる台詞があったりして、相変わらずのいい男振り。肋骨むき出しだったけど(笑)。

一方、キャスターが新たな陣地として狙う教会の主、愉悦神父こと言峰はキャスターも絶賛するほどの強さを見せつけてくれましたが……流石にサーヴァント二騎相手に勝てるわけもなく……。慎二に秘蔵のサーヴァントを譲ってしまった事が裏目に出た、と言えるでしょう。更には言峰が孤軍奮闘する様を監視するランサーの姿もあり。キャスターは既に勝った気満々ですが、まだまだ戦いの行方は分かりません。

セイバーを失い、深く傷付いた体を引きずり、それでもセイバーを助けたいと前を向き続ける士郎。その手の中には凜の家で偶然見つけてしまった、自分の命の恩人の手掛かりだったそれと全く同じペンダント。士郎は口にこそ出さなかったものの、セイバーと同じくらい、いやそれ以上に凛の力になりたいと願っている様子。しかし、いまや戦う手段をすべて失った彼に一体何ができるのか? 原作プレイした時もそうでしたが、全く勝てるヴィジョンが浮かびません!w


――などと観返しつつ感想をまとめてみると、今回の一時間も非常に濃密な、中身の詰まったものでした。最後に各陣営の現況も描かれて、2クール目への引きとしては実に見事なじらし方。