たこわさ

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「高杉さん家のおべんとう 9」感想

帯によるといよいよ次巻完結という事で、今回は色々と動きのある巻でした。
(以下ネタバレ)

前回、不明だった美哉の数年間が明らかになり、温巳は久留里の父親と思しき人物の手掛かりを手に入れましたが――冒頭のエピソードであっさり見つかってちょっとびっくり。
温巳にとってはまさしく一大事であり、事情が事情だけに紆余曲折を覚悟して臨んだ久留里の父親探しでしたが、早々に本人に会うことが出来、しかも相手もはぐらかしたり迷惑がったりしないで素直に認めた上に、非常に誠実な人物で、温巳は肩透かしを食らってしまいます。
何だか、本人のせいでは決してないのですが、実に温巳らしい展開ですね(笑)。

そこからも、「保護者」として久留里に父親の事をいつ伝えるか、どう伝えるか温巳はウジウジ悩みますが、当の久留里はもう高校三年生。実にしっかりした女の子に育ちましたし、温巳にとって一番の不安――久留里という家族を失ってしまう可能性――は、立ち止まらずに久留里と一緒にいる為にずっと動いてきた自分自身の今までを信じる事で乗り越え、見事に乗り越えます。ハルくん成長したなぁ( ;∀;)

久留里が高校三年生という転機に立っている事もあり、自分がフランスの研究チームに誘われたという大きな変化もあり、久留里と自分のこれからについて真剣に考える事がようやくできるようになったようですね。
久留里も、今までは頑なに「就職」の二文字に固執していましたが、温巳という保護者で家族で愛しい人に頼り、甘え、その背中を追いかける事を覚え、ようやく自分の道を模索し始めたようで。
以前ならば、温巳は久留里と一緒にいる事ばかり優先しようとしたでしょうし、久留里は温巳に迷惑をかけたくないと考えたでしょうが、今では何があってもお互いが「家族」だと思ってさえいれば、例え違う場所にいようとも二人は「家族」のままでいられるという信頼が成り立っていて、ああ、二人は本当の意味で「家族」なのだな、と。

ただ、久留里にはまだ父親との面会、受験、温巳への秘めた(ハルくん以外には大概バレバレの)想いなど、課題が山積しているし、温巳も久留里をおいてフランスへと赴くことに思う所がないわけではなく。

「おべんとう」を通じて育まれた二人の絆はどこへ向かうのか。最終巻を楽しみに待ちたいと思います。