たこわさ

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アルドノア・ゼロ EP11「ノヴォスタリスクの攻防 ―Wind, Snow and Stars―」感想

(以下ネタバレ)
アセイラム姫の停戦を呼びかける声明はザーツバルムの手の者により誰にも伝わらずに終わった。逆に姫の位置を察知したザーツバルム達は揚陸城による地球連邦本部への強襲を敢行する。蹂躙される地球連邦本部を前に無力感に苛まれるアセイラム姫だったが、火星騎士達と敵対する決意を固め、揚陸城のアルドノア・ドライブを自らの手で無力化する案を進言する。彼女の決意を知った伊奈帆は揚陸城への大胆な奇襲作戦を立案。エデルリッゾやライエの助力によりデューカリオンに乗り込んだ姫と共に、伊奈帆達の決死の戦いが始まる――。

いつも冷静沈着で作戦立案能力に長け戦場にあっても的確な判断と卓越した技術でおおよそ戦士として完璧に見える伊奈帆ですが、決死の作戦にあたって姉からもらった「お守り」を眺め、姉や友人の生存率を高めるために自らの身を危険にさらすその姿からは、決して表には出さない彼の「本質」が透けて見えるように感じられます。
「一番確率が高い手段を選ぶ」と冷徹な判断をしているように見えて、その実自分の大事な人々が生き残る道を必死に模索する、リアリストだけれども実は誰よりも人間味溢れる青年、それが伊奈帆なのかもしれません。姫が自らの身を危険にさらす事を容認したのも、彼女の決意の重さを察したからこその判断なのだろうな、と。
だから完璧な戦士である伊奈帆の人間としての弱点は、彼が内側に抱える誰よりも人間的な感情を決して表に出さない事なのでしょう。アセイラム姫はそんな彼の内面を見抜いていて、だからこそ伊奈帆を「優しい人」と表現したのでしょう。

さて、決死の作戦を敢行した伊奈帆達ですが、それでも彼我の戦力差は絶望的ですし、何より敵の将は策謀家であり信念と妄執の戦士でもあるザーツバルム卿。伊奈帆達の作戦を半ば見抜いていたのでしょう、姫のいるデューカリオンを直接強襲するという手段に訴えます。絶望に絶望を塗り固めたような状況ですが、それでもその時点で最も確実な、しかし常人には決して実行できないであろう判断を下した艦長は実は伊奈帆以上に優秀なのかもしれません。

期せずして揚陸城にラムアタックを仕掛ける事になってしまったデューカリオン。しかし、この奇手が伊奈帆とアセイラム姫の手によって妙手となる可能性も残されており……次回も非常に待ち遠しい! ライエとエデルリッゾの安否も気になります。
今回も行動が裏目というか空振りに終わったスレイン君はそろそろ暗黒面に落ちそうなのであんまり見たくありませんがw