たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などの感想を中心にお送りする雑多ブログ。

「X-MEN:フューチャー&パスト」感想

映画版X-MENシリーズの正当なる続編である本作、遅ればせながら観てまいりました。
基本的には、「X-MEN:ファイナル デシジョン(原題:X-MEN:THE LAST STAND)」と「X-MEN:ファースト・ジェネレーション(原題:X-MEN:FIRST CLASS)」の続きとなっているので、「ウルヴァリン:SAMURAI(原題:THE WOLVERINE)」を観ていなくても話が通じるようになっています。*1
逆に言えば、シリーズの知識がないと敷居の高い作品となっていますが、私的にはそれを差し引いても上質なエンターテイメント作品になっていると感じました。
シリーズファンの中には、新規キャストで過去を描いた「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」を観ていないという方もいるかもしれませんが、同作も実に良い作品です! レンタルでも良いので是非同作をご覧になったあとで劇場に足を運ぶ事をオススメします。
(以下、ネタバレ)


近未来、ミュータント殲滅の為に開発された超兵器センチネルが、ミュータントだけでなく「ミュータントの母体となる可能性のある人類」をも攻撃し始め、人類が絶滅の危機を迎えていた。残り僅かとなってしまったX-MENマグニートーは、滅びの運命を回避する為に、ローガン(=ウルヴァリン)の精神を過去の彼の肉体に転送し、センチネルが超兵器となってしまったきっかけを阻止するという歴史改変を試みる、というのが導入部のストーリー。その為、未来世界では「X-MEN:ファイナル デシジョン」から続投のメンバー+αが活躍し、過去世界ではローガンと「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」の面々が活躍するという構成。

さて、本編についてですが、シリーズ通して人格者としてX-MENを導いてきたプロフェッサーが、過去の世界ではすっかりやさぐれた駄目人間になっているというショッキングな事実がローガンと観客を待ち受けています。ローガン達に道を示し救ってくれたプロフェッサーを、今度はローガンが救い導くという逆転構成は旧作ファンなら思わずニヤリとしてしまう事うけあい。
粗野で凶暴なイメージのあるローガンですが、元々、自分よりも未熟な人間に対しては「良い兄貴」役を演じてきたのも事実。そこに、ジーン達との悲しい別れやプロフェッサーに対する恩義という要素が加わり、いつになく大人な彼を見ることが出来ます――もっとも「ローガンなりの大人な言動」な訳ですが(笑)。

そんな逆転構造の中でも揺ぎ無いのがエリックことマグニートーの外道鬼畜振り! 甘言でプロフェッサーを油断させておいてあっさり裏切るその手並みは、まさに悪役の王道。しかしながら、そんな過去の彼とは対照的に、未来のマグニートーは後悔の気持ちを抱えながら戦っているという、対比構造が見受けられ、過去と未来との間に横たわる長い年月を感じさせます。

本シリーズの魅力の一つであるアクションについては、絶望的な状況下で絶対に敵わぬ敵を相手にそれでも戦う悲壮感溢れる戦いが描かれる未来と、旧来の通り人類とミュータントとの軋轢を背景に人類・ローガン達・マグニートーのそれぞれがそれぞれの想いと目的を抱えながら戦う過去という、味わいの異なる二つのアクションを楽しむ事が出来ます。特に過去編では、物語のキーパーソンとなるミスティーク(=レイブン)が、プロフェッサーやマグニートーへの愛憎や仲間達の無念を晴らしたいという復讐心の狭間で揺れ動き、その葛藤がアクションシーンの中にもちりばめられている、観客への問い掛けとも言える構成になっており、見ごたえ抜群。
ただし、いくつかのシリーズ作品では控えめに描かれている残酷描写――特に流血や決定的な死の場面が容赦なく描かれるのも本作の特徴なので、好みが分かれるところかもしれません。*2

ミュータントと人類との摩擦、超能力と超科学による超常バトル、非日常的なシチュエーションの中でも繰り広げられる人間らしい愛憎劇、シリーズの魅力的な要素を余すことなく詰め込んだ意欲作に仕上がっています。

ただ、そもそも肉体を失い他人の体で復活したはずのプロフェッサーが、何故元の姿なのかとか、ミスティークが実験体として囚われたのは具体的にいつの事なのかとか、少々旧シリーズとの齟齬というか説明不足な点が脚本上に散見されました。元々、原作アメコミのエピソードを再構成している作品の為、基本設定の変えられない部分でどうしても齟齬が発生するのは仕方ないと思いますが、もう少し言葉を尽くしてほしかったかな、という思いもあり。
あと、ローグどこにいったw

X-MEN:デイズ・オブ・フューチャーパスト (MARVEL)

X-MEN:デイズ・オブ・フューチャーパスト (MARVEL)

*1:ただし、「ウルヴァリン:SAMURAI」の劇中で本作に通じる描写がいくつか存在はする。

*2:序盤でとある主要登場人物の首が折れてしまうシーンなどは、観ている方の心も同時に折ってくれます。