たこわさ

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「テルマエ・ロマエII」感想

原作および映画第一作は観賞済み。
(以下ネタバレ)

第一作は、原作の持つ「骨太な古代ローマ描写を背景にテルマエ(浴場)建築に命を懸ける技師・ルシウスの苦悩する姿と現代日本へのタイムスリップという馬鹿馬鹿しさの間に生じるシリアスな笑い」を見事に再現し、主演の阿部寛を始めとする「濃い」俳優達が古代ローマ人を演じるという一歩間違えるとコントになりかねないキャスティングも、俳優陣の熱のこもった演技と濃ゆい顔により、シリアスさとコミカルさのアンビバレンツな魅力を絶妙のバランスで体現するという、「傑作」の名に恥じぬ作品でした。
それだけに続編となる本作に対しては期待以上に不安も抱えていたのですが、どうやらそれは杞憂に終わったようです。

相変わらず無駄に豪華に作り上げられた古代ローマの街並み背景に*1、驚くほど動員されたエキストラ達が色を沿え、その中心で日本人(ただし濃い顔)が古代ローマ人を演じるという良い意味での馬鹿馬鹿しさ! この雰囲気は大真面目で役者も演技に熱が入っているのに傍から見るとシュール極まりない光景、これでこそ「テルマエ・ロマエ」!

脚本に関しては、前作が結構きれいに終わっていただけに、どう料理するのかと不安に思っていましたが、極端に変化させるでもなく、実に正当な「続編」として作りこんできた印象。きちんと原作へのオマージュも入れてきたところから、近年の漫画原作実写映画にしては実に原作とそのファンを大切にしているのだな、と。

ただ、少し気になったのは「続編」を意識しすぎているのか、「前振り」に当たる部分が殆どなくてちょっと唐突な始まり方をしていた所。前作を振り返るシーンだとか何も無しで「いつものように」ルシウスがタイムスリップし始め、気がつくといつの間にか古代ローマに戻っているというシーン間のチグハグさを感じる部分がありました。もっとも、それも最初の方だけですし、前作を観ないで本作を観る人というのも少数でしょうが。

そういえば、私が観に行った劇場ではやけに年配の方の姿が目に付きましたが、まさか劇場に貼ってあった「十戒」のパロディと思しき本作のポスターに、リメイク作品と勘違いして観に来てしまったのではないかと益体のない事を思ってしまったり。*2

テルマエ・ロマエII ムジカ・コレクティオン

テルマエ・ロマエII ムジカ・コレクティオン

*1:もちろん、所々CG処理が甘かったりセット感丸出しだったりする部分はあったが、それも「狙って」のものに見えてくるからすごい。

*2:劇場予告編が「T2」のパロディだったりと、一体どの年代に向けているのだろうと首をひねった記憶も。