たこわさ

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リトルバスターズ! 〜Refrain〜 第13話「リトルバスターズ」感想

原作プレイ済み。
(以下ネタバレ)
横転したバスの中からクラスメイト達を助け出そうとした理樹だったが、車内の光景がある記憶と重なり再びナルコレプシーの闇へと落ちてしまう。沈んでいく意識の中、理樹は意識喪失の引き金となっている自分の記憶を探すべく、深く深く意識の底へと潜っていく――。

結論から先に書いてしまうと、原作組としてはかなり満足な出来の最終回でございました。以下、ストーリー展開に沿っていくつか感想と考察をば。

まず、理樹がナルコレプシーを克服し、鈴の助けを得て再び意識を取り戻す件ですが、この点については原作でも言葉を濁されているというか、現実世界での理樹が果たして本当にナルコレプシーだったのかも微妙なラインで、実際には両親の死というトラウマを刺激する出来事に遭遇した時に失神してしまうある種の意識障害を患っていたのではないか、とも取れるんですよね。*1で、「あの世界」での成長の結果として理樹が精神的トラウマを乗り越えるだけの強さを身に付けたので、バス事故の凄惨な現場でも意識を失わずに済むようになった、と私は解釈しています。でないと「理樹が気合でナルコレプシーが治した!」という全国のナルコレプシー患者が怒りそうなお話になってしまいますし(苦笑)。

次に、理樹と鈴だけで重症のクラスメイト達を全員救出した件ですが……私の記憶だと原作では怪我が軽い人間は少しは意識を取り戻した描写があったので全員を二人だけで救出した訳じゃないと思っていましたが、アニメだと丘の上まで引っ張りあげるの含めて二人だけでやってましたね(笑)。たとえ二人の体調が万全の状態だったとしても、あそこまでに数十分の時間が経過しているはずで、その間バスが発火しなかったのは何ともご都合主義に溢れすぎているなぁ、と感じずにはいられなかったり。
せめて、恭介がガソリンが漏れ出すのを塞いでいる場所からそう遠くない所で火花が散っていて、ガソリンの気化が進むと引火する恐れがある、位の裏設定を示唆するような描写があればな、と。もしくはモブキャラの何人かが負傷した体をおして理樹達を手伝う、とか。そっちの方が自然だったと思うんですがね。
あと、傷付き昏倒する小毬ちゃんが微妙にエロくて困りました!(ぉ

また、今回のアニメ版でまたよく分からなくなってしまったのが、「理樹達とリトルバスターズの面々が重ねた思い出はどの辺りまで現実でも起こっていたのか?」という所。原作では、「あの世界」の出来事は「確かに記憶にあるが薄いもやの向こうのような感覚もある」程度のものとして描かれていたかと思うんですが(細部の表現はやや自信なし)、事故後の理樹達の様子や、前回鈴が回想していた女性陣との思い出を見るに、現実空間でもリトルバスターズの面々は十分に親交を深めていたっぽいんですよね。でも、今回野球部の部室を掃除していた場面を見ると、皆で野球はやっていないのかな? とも取れてしまい。まあ、ただ単につかってなかった間の埃を払っていただけなのかもしれませんがwそれでも、皆の打ち解け方を見るにやっぱり現実世界でも「あの世界」と似たような事が起こっていた、とも取れますね。修学旅行までの一学期を繰り返していた、という事ですが、理樹が女の子達の問題を解決したのはその一学期の間の出来事として処理されていたし。多分、似たような事が起こっていた、という線が有力か。そっちの方が平和ですし。
さて、理樹達が入院している間の出来事はばっさりカットされ、謙吾の復帰から物語は再開。学園の何気ない光景にまぎれて佳奈多やあーちゃん先輩が平和そうに過ごしている姿も描かれたのが何気にポイント高し。現実世界で佳奈多がバス事故に際してどんな反応を示したのかは、残念ながらBlu-ray/DVD特典の佳奈多ルートシナリオでしか描かれないのですが、葉留佳の様子からは姉妹の問題は解消されている、と取れなくもなく。

そして恭介復活。理樹が成長したとはいえ、やっぱり皆の中心には恭介が必要だった、というお話で。ただ、原作からカットされている要素を補足すると、恭介の入院が長引いたのは「抜け出して自動車教習所に通ってたから」というのがあったりします。アニメでその件がカットされた理由は不明ですが、そのせいで恭介が最後にミニバンを平然と運転している事にツッコミをいれたくなる人も出てきそうですね(笑)。つーか、恭介が4月生まれで早い段階で免許を取っていたとしても、時期的にまだ若葉マークを付けていなくちゃいけないはずなんですが、その辺りはツッコんではいけないのだろうか(笑)。
あと、美魚が傘の代わりにカメラを携えていて仲間達の日常の姿を事あるごとにスナップしていたのが印象的。ここら辺、前期と違ってキャラクターを遊ばせておかない実に小粋な演出でした。

不平・不満・不評が溢れていた第一期とは打って変わって高評価の声が多かったこの第二期。原作組の私としてもほぼ満足といっていい出来でございました。何故これが第一期で出来なかったのか(苦笑)。ただ、TVアニメという媒体なので仕方が無いのですが、終盤の三話は出来れば一本で見たかったなぁ、と。ゲーム終盤の怒涛の展開を再体験するにはその位が丁度よいのですが、それは流石に高望みしすぎというものでしょうか。

*1:つまり「あの世界」でのナルコレプシーは、現実世界で理樹が事故現場を直視した時に失神してしまうという潜在的恐怖を具現化した症状であり、実際の理樹はナルコレプシー患者ではなかった、という解釈。