(以下、若干ネタバレ)
作者は先ごろ「貧乏神が!」が大団円を迎えた助野嘉昭氏。同作が古式ゆかしいギャグをベースとしたバトル漫画(しかもちょっと百合風味)だったのに対して、「双星の陰陽師」は王道のバトル漫画でありボーイ・ミーツ・ガールを地でいく内容になっている。
主人公・ろくろは優れた才能を持ちながらも過去に仲間達を救えなかったトラウマから現場を離れている陰陽師――「ケガレ」と呼ばれる化け物を退治し祓い清める存在――だったが、ある日美少女陰陽師・紅緒と出会った事から再び「ケガレ」との戦いの渦中に飛び込んでいくことになる。
元・天才少年と現役の天才少女が出会い、諸々あっていがみ合うライバル関係になるのだが、二人はある宿命を持つ「双星の陰陽師」と呼ばれる二人で一つの存在で本人達の意思とは関係なく一蓮托生の「ある役割」を与えられる事になってしまい――という悪く言えばテンプレ*1、よく言えば王道な導入は、近年の奇をてらい過ぎ最早斬新なのか残念なのかよく分からなくなってきた少年漫画の新作の中において、清々しささえ感じる。
また、「貧乏神が!」で縦横無尽のバトル作画を繰り広げてきた助野氏らしく、バトルシーンの迫力は十分。もちろん、メインでこそないが独特のノリのギャグも健在。
しかし、本作を王道たらしめているのは、なんと言っても第二話における「お風呂で鉢合わせちゃってドッキリアハーン」であろう。まあ、紅緒の場合恥らうのではなく本気で殺しにかかるんだけれども。
何はともあれ、こういう真直ぐな少年漫画が出てきてくれる事はうれしい限り。前作「貧乏神が!」も実に完成度の高い作品だっただけに、本作についても見事に期待にこたえる作品となってくれるのではないだろうか。
- 関連サイト
- ジャンプSQ.[双星の陰陽師]助野嘉昭
*1:古くはらんま1/2とかのノリ、と言えば通じがいいか。