たこわさ

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ゴールデンタイム 第10話「イン・ザ・ミラー」感想

原作未読。
(以下ネタバレ)
幽霊状態だった「18歳までの万里」が肉体に戻った!?――と思われたもののその状態は長く続かず、すぐに「現在の万里」に戻っていた。しかし、自分が自分でなくなっていた感覚と、そして何より「リンダに会いたい」という気持ちが強く残ってしまっている事に万里は危機感を覚える。そしてその事が引き金だったかのように高熱を発した万里は一人で病院に向かおうとするが外に出たところで倒れてしまい、隣家のNANAに助けられるのだが――。
NANA先輩からの連絡を受けて駆けつけたリンダが甲斐甲斐しく万里を看病する姿は、彼らを取り巻く複雑に絡みあった状況さえなかったら微笑ましいものだった事でしょうが、「18歳までの自分」のリンダに対する想いだけを引き継いでしまったような状態の万里、そしていまだに万里への態度がどこか義務感めいた何か――もっと言えば無理に「最大の理解者」かつ「先輩」としての役割を演じ続けようとさせている何か――に突き動かされていると思しきリンダにとっては、なんとも微妙な雰囲気を伴った時間だったのではないかな、と。
だから、香子が不安になって「浮気」という言葉を連呼した気持ちもよく分かるし、同情さえもしてしまいます。香子が万里とリンダの関係をどこまで知っているのか(知らないのか)はいまだに明らかにされていませんが、それでも万里の事を本当の意味で好きになりつつある彼女にしてみれば、雰囲気だけで何となく二人の間にある特別な事情を感じてしまうのでしょうね。
香子と万里はお互いに「曖昧な自分自身を一番近くで見てくれる存在」として依存しあう関係にありますが、香子が確実に「これからの自分」が存在するのに対して、万里は「これまでの自分」にいつ取って代わられるか分からないという不安を抱えているわけで、香子の不安と万里の不安は本質的には異なるものなんですよね。その事がいつか二人の仲に決定的な亀裂を生んでしまうのでは、と思わずハラハラした気持ちで二人の行く末を見守ってしまったり。