「劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」感想

アーティスト: ClariS
出版社/メーカー: SME
発売日: 2013/10/30
メディア: CD
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最速上映館にて観てまいりましたが――なんちゅう、なんちゅうモンを作ってくれたんや！！という感じでございました。出来れば後2,3回は観たいところです。
（以下ネタバレ）
途中までは起承転結のしっかりした実に出来のいい映画だな、と思いながら観ていました。TVシリーズでは実現しなかった5人の魔法少女達が共闘する光景や重い宿命に縛られず日常を謳歌する姿を描いてくれたのが実に嬉しかった！そしてそれが何者かによる偽りの世界であり、それに気付いたほむらが謎に迫っていくというやや使い古された設定ながらも語り口がしっかりしたミステリ展開へと移行し、更にはそれに映像美と超絶アクション作画が色を添え、やがて真相が明らかになった時、今度こそ本当の意味で魔法少女達がひとつの目的のために共闘するというカタルシスを感じずにはいられない物語構成に感動しかけたその時――やってくれましたよウロブッチーと仲間達！！ｗ
今回、副題の「叛逆の物語」の指す意味が何なのかという所は誰しもが疑問に思っていたかと思います。叛逆（反逆）というと最早ルルーシュしか浮かばない訓練されたオタクである私ですが、本作を観る前は「きっとまどかがいなくなった世界でもほむほむがひたむきに頑張るお話だろうな」などと甘い考えを抱いていましたが……まさかほむほむがルルーシュよろしく「世界を壊し、そして作る」とは思ってもみませんでした。しかも、まどかの願いを一部否定する形で。
思えばほむほむの願いはTVシリーズの頃から「まどかがまどかとして生きていける世界の実現」でした。そんな彼女にとって、まどかが我を捨てて概念へと昇華してしまった事は、とても受け入れることの出来ない辛い事実だったことでしょう。しかしTVシリーズでのほむらにはまどかを救う手立てはなく、「まどかの想いを尊重する」という建前で自分を納得させる他ありませんでした。
それが、自分の都合のいいように作り上げられた世界で、円環の理から都合のいい部分だけ抜き出された「本物のまどか」を目にした時、まさしく悪魔が囁いたのでしょう。だから、そのあとのほむほむの行動は全て円環の理＝まどかが自分を連れに来たその一瞬を迎えるための布石だったと言えます。
そして、彼女は成功した。
完璧だった円環の理が崩れた弊害なのか、ほむほむが作り変えたあとの世界には魔女の使い魔達の姿があちらこちらに見受けられました。という事は、あの世界は基本「魔獣」が出没する作り変えられる前の世界ながらも、魔女が存在する可能性が0ではなくなってしまった世界であると思われます。さやかがほむほむを非難していたのは、おそらくそういう事なのではないかと。
これだけみると、ほむほむは自ら語っていたように「悪魔」のような所業を為したように思えます。自らの「愛」という名の執着心によって、全ての魔法少女が魔女となる運命から救われる道を閉ざしてしまった。利己的行為の究極。
しかし、本当にほむほむは悪魔と化してしまったのでしょうか？
まどかが円環の理として完全であった世界では、魔女が存在しない代わりにさやかは現世から去ることになり、まどかは人間としての存在そのものが消失してしまいました。
しかし、ほむほむが作り変えた世界は、円環の理が不完全な危うい世界ではありますが、さやかは人間としての日常を取り戻し、またまどかも一人の少女として存在することが許された世界でもあります。果たして、どちらの世界がより悲しみから遠い世界であるのか？その問いの答えはおそらく個人個人によって異なるのでしょう。
犠牲のもとに成り立つ平和な世界を享受するか、不安定ながらも誰かの犠牲の上に立つことがないような世界を選択するか。本作は、ほむほむが前者に「叛逆」し後者を勝ち得た物語なのだな、と。
以上、観賞後の熱病にうなされた興奮気味な文章でまとまりがありませんが、とりあえずの感想となります。本当に色々な要素やメッセージがこめられた作品なので、後日詳しい考察などを書くかもしれません。
あと、本作を観て再確認しましたが、私はほむほむと杏子が大好きなようですｗ

追記

予想通り、あの終わり方についてある種のハッピーエンドと捉えるかバッドエンドと捉えるかで賛否が分かれている模様。でも、話の大筋への解釈については皆概ね一致しているんだから作品の完成度の高さは分かろうというもの。
ちなみに私はある種のハッピーエンドである派。ただ、最良・完璧な結末である「円環の理に守られた世界」を一部否定した事で生じる歪についてどう決着を付けるのか？という命題が残されているのでそこの所は余韻というよりも投げっぱなしに感じてしまった部分はあります。