たこわさ

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない。 第9話「俺の妹がこんなに可愛いわけがない!」感想

原作既読。アニメ前期視聴済み。
(以下ネタバレ。原作要素はカットされた部分のみネタバレ)

先輩と別れる

突然つきつけられた黒猫からの別れの言葉。戸惑う京介に追い討ちをかけるように、黒猫が京介にも桐乃にも黙って引越し・転校してしまった事が判明する。あまりの出来事に一人で抱えきれなくなった京介は桐乃に「人生相談」を――。
今回のまとめ「度を過ぎたシスコン・ブラコン兄妹の仲を正そうと黒猫が犠牲になったでござるの巻」。
――と言うことで、リアルで異性の兄弟姉妹がいる人には気持ち悪くて仕方がない高坂兄妹のシスコン・ブラコン振りに黒猫が果敢に戦いを挑んだけれども見事に討ち死にした、とまとめる事ができるお話でしたね。厳密に言うと黒猫は「首をはねられる」前に力技で誤魔化したので、ちょっとだけ有耶無耶になってしまっていますがw
京介が桐乃に恋人が出来るのを嫌がるように桐乃も京介に恋人が出来るのが嫌、という実に気持ち悪い兄妹愛な訳ですが、実は二人の気持ちには決定的な違いがあるんですよね。
第二期でも散々描かれてきましたが、京介は桐乃が「妹だから」大切に思っているし、恋人の影が見えれば嫉妬するしで、あくまでも「兄貴」という立場なんですよね。ただ、彼の場合永らく続いた桐乃との冷戦の結果、「兄貴としての自然体」が分からなくなってしまい結果として度の過ぎたシスコン振りを発揮してしまっている訳です。世間様の兄妹関係からみれば酷く歪なそれですが、それでも兄妹の関係を超えて何かを求めている訳ではない。
対して桐乃はどうでしょう? 桐乃の場合、兄への呼称が「京介」だったり「兄貴」だったり一定しないところにその微妙な感情が表れていると思われます。「『兄貴』の事は大嫌いだけど『京介』の一番は自分じゃないと嫌」というのが桐乃の本音ですけれども、これってつまり京介の事を「兄」という枠組みを越えた所で好きだからこその感情じゃないでしょうか。もっとあからさまな表現をしてしまえば「兄貴じゃない京介が好き」といったところか。
二人の想いの質の違いは、京介の桐乃への「人生相談」の場面にも表れていて、桐乃が京介を抱きしめた時、京介は「肉親の温かさ」を感じて安らいだ表情でしたが、対する桐乃は照れを伴っていた上に京介の「温かい」発言にも羞恥の表情を浮かべています。京介が何の下心も含まない気持ちで言った言葉を、桐乃はエロティックな響きをもって受け止めた。二人の間にある認識の違いは実は天と地ほどの差があるんじゃないでしょうか。
例の偽装デートの時、京介の「妹と彼女って似たようなものなのかもな」という無神経な発言に桐乃はへそを曲げましたけれども、つまりはそういう事なんでしょうね。
そんな歪な関係を黒猫は身を呈して正そうと試みましたが……京介と桐乃は互いに大切に思いあっているという事実こそ確認しあいましたが、それでも二人の認識には決定的な違いがあるし、京介も「(京介が勝手に思い込んでいる)理想的な兄貴としての振る舞い」にとらわれたままで、「妹が嫌がるなら彼女は作れない」という斜め下の着地点へと落ち着いてしまいました。
最後に示された「改訂版・理想の未来」のイラストに表れているように、黒猫は京介とも桐乃ともずっと仲良くやっていきたいと願っています。ですがそれには、京介の「斜め下な発想のシスコン振り」と、桐乃の「兄妹という関係を逸脱した京介への好意」が改められないといけません。*1今回これだけの事があったのに、直らなかったものを、です。本当に「道のりは長い」と言える事かも知れません。
京介は「そんなことねえよ」等と軽く言っていましたが、物語の結末までに本当に決着が付く問題なのか……?w

ちなみに、原作では黒猫と桐乃が互いに恥ずかしい暴露合戦を繰り広げててそこは爆笑ポイントだったんですが、残念ながらカットされた模様。やっぱり1クール+2話は短すぎますわな。

追記

ちなみに、原作該当部分の感想は→「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(8) - たこわさをご参照ください。
いやあ、原作は京介視点だから仕方がない部分もあるだろうけど、桐乃の「本音」部分を完璧に誤認してるな、私w

更に追記

ちなみに本屋でこんなものを見つけて思わず表紙買いしてしまったのだが、どう思う?(何

*1:前者だけが治っても後者が立たず、後者だけが治れば一見問題ないように見えますが「京介は妹の許可を得ないと彼女も作れない」という彼女としてやりきれない状況になり。結局両方が正されなければならないという。