たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などの感想を中心にお送りする雑多ブログ。

「ネタアニメ」という尊称

ヴァルヴレイヴがネタアニメに見える層って何が見えてるの? - Togetter
煽り臭い見出しだな、と思いつつも中身を読んでみるとそもそも「ネタアニメ」という言葉が一人歩きしている感があったので自称アニオタのオサーンが件のアニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」に対する印象も含めて私的見解を書いてみました。
(以下、アニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」のネタバレ含みます)
端的に言ってしまうと、私が上記まとめに対してはてなブックマークで書いた、

ネタアニメという言葉を狭義で捉えすぎて迷走してる感じ。ネガティブな意味合いで使ってる人は少数派だと思われ。制作側の放る魔球にスゲー!www って言ってる人の方が多いんじゃないかな?

という事に尽きるのではないかと思います。
「いやいや、まとめの方でもネガティブな意味で発言している人いるじゃん?」と仰る方も多いかと思いますが、ああいった方は単純に好みが合わないor自身のリテラシー不足により生じた「駄作」という認識を叩きやすい材料で補強したいだけかと思います。そもそもそういった方は単純に「反りが合わない」だけと思われますので、安易に作品批判を高らかに叫んでご自身のアニヲタとしての品位を落とさないよう気をつけたほうがよろしいかと。つまるところ「面白い」「面白くない」は個人の好みに帰結する問題ですので。
そもそも「なんでネタアニメって呼ばれているの?」という質問に対して自身が「面白くない」と感じた部分を挙げるのってなんだかずれていませんか? と思ったりするのですけれども。
――それはさておき。
ネタアニメ」という言葉の定義はそれこそ人それぞれで違ってくるでしょうが、少なくとも私が(主にネット上の)反応を散見したところ、上記のように制作側が「狙って」設けたツッコミ所に対して視聴者が「なんでやねん!」とツッコミつつ、ストーリー面では毎回「超展開」ギリギリスレスレの所を通っていくという、遊園地のアトラクションで言えば「カリブの海賊」みたいなコースターに乗ってるとビックリイベントが次から次に襲い掛かってくるアレ*1のような楽しみ方をしている人の方が多いように見受けられました。
そもそも「ネタアニメ」っていつから蔑称になったのでしょうか?
確かに、世の中には作画が崩壊していたり超展開過ぎて視聴者が置いてけぼりになったりという作品は少なからず存在して、それらの作品が「ネタアニメ」と嘲笑される事例がなかったわけではありません。しかしながら、そういった「ネタアニメ」というのはアニメ本編にはあまり触れられず、「ネタ」の部分だけが(それこそ作品を直接観ていない人にも)伝わって世に知られるようになる場合が殆どではないでしょうか。
対して、件の「革命機ヴァルヴレイヴ」はいかにも制作側が「ツッコンでください!」言わんばかりにウェルカム状態な設定の粗とか登場人物の珍奇な言動とかが盛り沢山な一方で、戦闘シーン・人物作画などに大きな破綻は見受けられませんし*2、大味ながらもストーリー展開は毎度毎度予想の斜め上を行ってくれて飽きがきません。第一話の時点で様々な名作ロボットアニメの「定石」が要所要所にちりばめられている様は良い意味でのパロディでありオマージュであるように見受けられます。*3
ヒロインであるショーコが「死んだ!?」と思わせるシーンなども、一応直撃は避けているものの地形が変わる程の砲撃を間近で食らって怪我も無く生きていたり、誰もがツッコンだに違いありません。*4ヴァルヴレイヴ一号機の必殺技(の予備動作)も「ハラキリ」だったり、あれを狙ったギャグじゃな〜いギャグじゃな〜い♪と謳うにはちょっと無理があるでしょうし。
ただ、それらはやはり制作側が「狙った」ものであり、別にふざけて作品を作っているという訳ではないはずで。例えば、シリーズ構成の大河内氏が深く関わった「コードギアス 反逆のルルーシュ」シリーズなどは、ストーリー展開やキャラクターの言動はほぼ一貫していてぱっと見リアル系アニメのように見えますが、いちいちルルーシュが格好いいポーズ(笑)をとったり、一部設定をあからさまに変更してなかった事にしてしまったり*5、シリアス展開の前には異様に雰囲気の明るいギャグ回や日常回を入れてきたり、「狙ったB級感」も魅力の一部だったわけで。
コードギアス」と監督つながりで「スクライド」という名作もありますが、こちらも「真剣に熱い男の子の為のアニメ」でありながら、毎回登場する色物アルター使いも楽しみの一つだったり、最終回丸々一話「男の維持の張り合い」に費やしたり、本筋はいたって真面目ながらも遊び心に溢れた作品でした。
かように、設定に粗があったりギャグのような展開が盛り込まれていたりしても、決して「駄作」にはなりえないわけです。その作品の目的が達成できており、それが視聴者に伝わったならばそれは「名作」となりえる。
もっとも「設定の粗」をもって駄作のレッテルを貼る方の考えも理解出来ないわけではありません。やはり大河内氏の関わった「ギルティクラウン」は、ストーリー展開こそ毎回毎回ジェットコースターみたいで面白かったものの、数話前に平気な顔して主人公を裏切ったはずの奴らがその後何事もなく平然と仲間面してたり、主人公が真剣な顔して徹夜で考えた作戦が全員特攻だったり、流石に不自然さだけが際立ってしまい、とてもじゃないけど笑ってツッコミを入れられる雰囲気じゃありませんでした。
そういった意味では、まだ折り返し地点も見えていない*6ヴァルヴレイヴに対し、この時点で「設定に粗があるから」とか「キャラクターの言動が理解出来ない」だとかいった理由で駄作のレッテルを貼り付けてしまうのはいかがななものか。初代ガンダムだって制作側のハッタリだらけの作品な訳で、もう少し優しい目で観てあげられませんかね?
……再び話がずれてきたのでここら辺で切り上げるとします。最後に、とある「名作」に対するこんな話を。
カフカの「変身」は、本邦では怪奇小説の如く暗いイメージを持っている方が多いですが、本来はアイロニーに溢れるブラックユーモアとされているそうです。*7例えば、主人公ザムザは朝目覚めると自身が巨大な虫に変身していたというのに、何故か考える事は仕事の心配だとか愚痴だとかばかり。そもそも、人間が何の脈絡も無く虫に変身するって……。至極真面目な文体で馬鹿馬鹿しい荒唐無稽な情景を淡々と描く――良い意味での「ネタアニメ」に通じるところがあると思いませんか?

変身 (角川文庫)

変身 (角川文庫)

5/24追記

ちなみに、一番大切なことは「ネタアニメ」という言葉の定義を論争する事じゃなくて、その人がそのアニメに対して好意的なのかそうでないのかを見極める事だと思ったりするのです。

*1:ちなみに私はディズニーランドに行った事ありません。「カリブの海賊」は分かりやすいと思しき一例なのであしからず。

*2:作画オタの人から見るとそうでないかもしれませんがw

*3:「普通の少年が秘密兵器に偶然乗り込み侵略者と戦う」という設定そのものがガンダム以降のロボット物の定石であり、またショーコが死にかけたシーンなどは初代ガンダムフラウ・ボウの家族が吹き飛ばされたシーンを連想させる構図ですね。

*4:私は「先生の車は対ビームコーティングと対衝撃装甲でも貼ってあるのかね?」とか思いましたw

*5:C.C.がスザクの心に触れて何かを確信した様子が描かれたが、尺の都合でなかったことにした、とスタッフの口から明言されている。

*6:事前情報では分割2クールだったかと。

*7:余談だが、主人公ザムザが変身する「虫」は「芋虫」とされる事が多いが原典では芋虫とは明記せず、言葉を濁してある。甲虫との説が有力だとか。