たこわさ

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない。 第7話「俺が後輩と恋人同士になるわけがない」感想

原作既読。アニメ前期視聴済み。
(以下ネタバレ。原作要素はカットされた部分のみネタバレ)
ニヤニヤ成分とお笑い要素が激しかったので、表情筋と腹筋が崩壊しそうです。

私と付き合ってください

黒猫の不器用な、それでいて真っ直ぐな告白。
それに対して京介は――すぐに答えを出せずフリーズしてしまう。黒猫に対する自分の想いは即答できるのに。
――何故か? それは恐らく、前回の偽彼氏騒動で桐乃に言ってしまった言葉が京介を縛っているから。「お前に彼氏が出来るのはいやだ」「俺の方が妹を大事にする」、そんな我侭を言っておいて自分はちゃっかり彼女を作ってしまうなんてことは「兄貴」のすることではない。そう、思っているのでしょう。
打ち上げのやり直しのシーンからもうかがえるように、京介は自然体で「兄貴」として振舞う事が出来ないのでしょう。「兄貴という存在はかくあるべし」と自分なりに考えた理想の兄貴像を必死に演じているのが今の京介の状態。必死になるあまり、妹とのプリクラを携帯に貼ったり待ち受けを妹の水着写真にしてみたりと、とても普通の兄貴じゃやらないような事をやらかしてしまう。
そして桐乃は京介が無理して理想の兄貴を演じようとしている事に気付いているのでしょう。だから、京介の「なんでも一つ言う事を聞く」という言葉に、黒猫の告白に真剣に答えるよう、背中を押した。
偽彼氏まででっち上げて自分の方を向いて欲しかった。そして思惑通り京介は自分の方を向いてくれた。でも、結果的にそれが京介に無理をさせている――自分が大切にしている女の子からの告白にさえ応えられない。兄貴が他の女とイチャイチャしているのが耐えられないけれども、その事で兄を束縛してしまう事にも耐えられない――。
なんという似た者兄妹でしょうか? まあ、もちろんこれは「桐乃は黒猫が京介に告白することを知っていた」という前提があるので、もしかすると「あんたが大切にしている女の子」というのは桐乃自身の事なのかも知れませんが(笑)。
ただ、上記を事実として考えると、京介と麻奈実のやりとりの意味もわかってくるんですよね。京介にとって、麻奈実もかけがえのない存在です。そして、恐らく京介にとって一番親しい異性であり、きっと麻奈実にとってもそうであると認識しているはず。第一期で京介は赤城の「彼女を好きだという男が現れたら」という質問に「ぶっとばす」と答えています。
妹と幼馴染という違いはありますが、京介の麻奈実に対する想いは桐乃に対するそれと非常によく似ています。((かたや自然体、かたや無理やり演じている、という対極でもありますが。))麻奈実に言い寄る男がいたら京介は不愉快に感じるわけですから、その逆もまた然り。なので、京介は麻奈実には相談できない、と断言しようとしたのですが、麻奈実の方が一枚も二枚も上手で、結局は出来の悪い弟を諭す姉のような麻奈実の態度に勇気付けられた結果となりました。
妹と幼馴染に気を使わせただけでなく背中まで押してもらってようやく黒猫に告白の返事が出来た――本当に、第一期の格好良さはどこへやら。京介は実に情け無い主人公に成り下がってしまいました。でも、それこそがこの第二期のテーマなのでしょう。

情け無い男、京介

私は貴方のそんな情けない所も――好きよ

上記は必死の告白に対して煮え切らない態度をとる京介に向けた黒猫の言葉ですが、この言葉こそが京介という男の真実を如実に表したものだと思います。
京介は、本当に普通の高校生です。これでもか、という位に普通の何の能力も持たない*1ただの青年です。そんな彼が、妹のために粉骨砕身の思いで頑張ってきた姿を黒猫は近くで見てきました。そんな強くて弱い、頼りがいがあるが情けない、等身大の青年の姿に黒猫は心を奪われたのでしょう。
第一期では体当たりで次々に難問を解決していった京介ですが、内実その殆どは無茶な力技でしかなく、多くの場合彼の能力が事態を打開したのではなく、彼の姿に周りの人間が心を動かされ――或いは呆れ、問題を解決(もしくは棚上げ)してくれたに過ぎません。高坂京介はヒーローでもなんでもない、ただの青年なのです。
それでも、何の能力もなくても、他人のために我が身を犠牲にして戦う京介だからこそ、桐乃も黒猫も麻奈実も、そしてきっと沙織も、彼のことが好きなのでしょう。あやせは……ノーコメントで(笑)
そんな訳で、第二期のテーマの一つは視聴者に京介の「情けなさ」、そして何の武器も無いのに必死に戦う彼の格好良さを描くことにあるのではないか、と思います。

超バカップル爆誕!

話をストーリーに戻しましょう。
黒猫の「そこに正座なさい」には爆笑してしまいましたが、その後の不器用すぎる自分の魅力アピールにニヤニヤが止まりませんでした。そして京介自身もよく分かっていないのかもしれない「即答できない理由」を理解した上で彼に猶予を与えるその態度――実際には心臓が爆発しそうなくらいドキドキハラハラしているのに――ヤヴァイ、致死量です。私が漫画のキャラだったら鼻血出しすぎて出血多量死してます。
その後、桐乃と麻奈実に尻を叩かれ黒猫の告白に応えた京介。恋人が出来て有頂天となっている彼の浮かれっぷりが可愛すぎる。でも、初心な思春期男子ってあんなものですよね。しかし名前で呼び合う自分と黒猫の想像図が全裸なのは流石にエロスが過ぎるぞ京介氏!w
さて、「恋人同士」として迎える第一日目の始まりは――まさかの御鏡襲来で肩透かしを食らいました。「死ね」と言わなかっただけ京介はエライ! しかし、そんな京介がモテ男と見受けられる御鏡に向けた質問「彼女のおっぱいはいつから触っていいの?」は完全にアウト!!w*2 いくら相手が御鏡だからってそれは酷いぞ京介氏!w ちなみに、原作だともっと酷い展開がこの後に続きますが、まあ蛇足なのでカットして正解でしょう。「おっぱい触りたい」発言だけでも視聴者が引いているだろうに更に追い討ちをかけるのは得策ではありませんからして。
その後の部室でのやりとりは前振りも十分だっただけに思わず爆笑。御鏡のぶっ飛んだ「彼女」像もさることながら、どんどんと墓穴を掘っていく京介の姿がもう! あーやべー京介本当に可愛い奴だw
でも、それ以上に可愛いのが黒猫。流石に一晩でノート一冊埋めるという愛の重さは京介でなくとも引きますが、京介の目もまともに見られないくらい照れてしまって、しかも最後に控えめに「デートしたい」と京介に伝える件なんてなんだあの可愛い生き物。現実に存在したら悪魔に魂を売ってでも手に入れたいぞ(ぉ
ただ、ちょっとだけ原作の話をすると、京介はあさっての方向見ながら話す黒猫の事を心底「可愛いなー」と思いながら眺めているはずなんですが、アニメだとちょっとそっけなかったですね。まるで桐乃に対して「理想の兄貴」を演じているように、黒猫に対しても「理想の彼氏」を演じようと努めているというか。
そんな訳で色々と腑に落ちない点はあるものの、実質的にバカップルだった二人が正式にバカップルになったという事で、来週もニヤニヤ展開が――続くのか?

その他

  • 黒猫の妹(大)を演じていたのは、黒猫の声優さんである花澤香菜なんですよね。一人二役でしかもお互いに絡むシーンが多いから収録大変そうですね。
  • そして今回も安定の「沙織の出番が原作より減ったでござるニンニン」の巻。グラサン沙織が怪気炎をあげようとしてしぼんじゃう様とか、黒猫に「ありがとう」といわれて思わず泣いちゃうシーンとかカットとか、黒猫派の私でもちょっとしょんぼり。

*1:一級フラグ建築士? はぁ? 聞こえんな?

*2:しかし、思春期男子に好きな子が出来たり、異性といい感じになったりした場合には高確率でエロイ事を考えます(当社調べ)。なので女性諸兄が観ていたら、どうか京介の事を嫌わないであげてくださいw