たこわさ

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「RATMAN」(11)感想

(以下ネタバレ)
ヒーローを目指したきっかけであるシャイニングマンに救われた思い出が捏造されたものであることを知った修斗。同時刻、クレアは姫崎会長から両親の死の真相とシャイニングマンの真実を明かされ……。
シャイニングマン誕生の物語については今までの伏線からある程度予想できる内容だったが、「Sの因子」がただ単にシャイニングマンの遺伝子を指すのではなく、その内に秘められた「負の感情をトリガーに発動する暴走状態」つまりラットマンの暴走因子そのものを指すものだったとは少々予想外。また、シャイニングマンこと明星がまるで修斗と生き写しであるかの如き「肉体的には弱いが人一倍正義感が強い人間」だった、という所が非常に暗示的。
そして明星が「正義」を追い求めるあまりに行くべき方向を見失い、結果的に悲劇を招いてしまったこと。命を救う為とはいえ異能を呼び起こす自らの血液を修斗に与えた事を憂い、修斗が自分とは違う道を歩んでくれるようヒーローから遠ざけたがっていたという意外な事実が明かされ、修斗はラットマンを辞める決意を固めてしまう。
修斗がヒーローを目指した根幹が崩れてしまったので、ヒーローそのものを続ける意志がくじけてしまったのは仕方が無いとしても、出来れば彼にはラットマンとして過ごした日々が何より自身がヒーロー足りえた証である、と自力で気付き立ち直って欲しかった、という思いもあり。ただ、自分の思いよりも他人の――ミレアの気持ちに答えたいという思いからヒーローでありたい、と決意する方が修斗らしいといえばらしいとも言え。
正体が明らかになった「もう一人のS」ことシンに攫われたミレアを救うべく、今度こそ本当のヒーローとして立ち上がる修斗。遂に次巻完結とのことだが、修斗が一体どんな決着をつけるのか? 彼はどんなヒーローを目指すのか? 心して続きを待ちたい。