たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(11)感想

Twitterで書いたとおり、某所でフラゲしてきましたが、面白すぎて一気に読んでしまいましたわ。
(以下ネタバレ)

(追記)以下は最終12巻を読む前の感想です。12巻のあまりの不出来さに作品全体の面白さが台無しになってしまっています。少なくとも私は金輪際本シリーズと伏見ハゲつかさ氏の作品に関わりたいとは思いません。これから読もうという方はそこの所を覚悟の上どうぞ。

口絵以外で最初のイラストがどこかの世紀末覇王バリに漢前な桐乃さんで吹いたwww
さてさて、肝心の本編はというと、桐乃と京介の幼少期中心で話が進むのかと思いきや、中学三年生の京介が体験した「ある事件」のエピソードが中心になっていて、少々虚を突かれました。で、そのままそれが「何故京介が『自称・平凡な高校生』になったのか」が明かされるエピソードだという事が分ってくるにつれ、グイグイと物語に引き込まれ……相変わらず伏見氏はこういった構成で魅せるやり方が上手いなぁ、と。
そして、今回はなんと言っても「登場した段階から敗北が決まってしまっている新ヒロイン」櫻井秋美ちゃんが不幸可愛すぎる! の一言に尽きますな! 凄い美少女だけど半引きこもりで偽乳特戦隊でちょっとアホの子で京介との漫才の相性もバッチリ! ――だけど物語の展開的にヒロインにはなれない、という読者に魅力をアピールすると同時に「ヒロインにはなれない」という大前提が横たわるアンビバレントなキャラクター性は、まさに「一発限りのゲストヒロイン」という属性を最大限に活かしたものでありました。
凄いもったいない素材だけれども、今回限り――というか既に過ぎ去ってしまった時間の中限定のヒロイン――だからこその輝きなんでしょうな。*1
ちなみに、「櫻井秋美」ってモロに声優の櫻井浩美さんを意識したネーミングだと思うんですが。櫻井ちゃんのハイテンションキャラもいかにも櫻井浩美さんが演じてそうなアホ可愛さだし。アニメで登場の際は是非櫻井浩美さんに演じて頂きたいものですw

閑話休題

さて、かつて桐乃が憧れていたという「スーパーマンなお兄ちゃん」である所の京介は、この櫻井秋美を巡る出来事によって「平凡な少年」へと変貌――というか厨ニ病の夢から覚めて――しまった訳ですが、その影にはやはり麻奈実の姿が!

――きょうちゃんは、ごく平凡な男の子なんだから

自分に限界があるなんて知らなかった、何でも「俺に任せろ!」の一言と共に勢いで解決してきた熱血少年だった京介が初めてぶち当たってしまった「決して超えることの出来ない壁」。それに直面し、どうしたらいいのか分からなくなってしまった京介に、そっと囁く麻奈実の一言は、天使の福音かはたまた悪魔の囁きか――恐らくはその両方、それは京介にとって救いでもあり罰でもあったのでしょう。かくして「スーパーマン」は只人へとなり果て、蛮勇さを失った代わりに平穏な日常を手に入れたのでした。
ともすればラノベの主人公にありがちな「無気力さの言い訳」である「自分は平凡な人間」というフレーズ。京介も度々「俺は平凡な高校生」という言葉を使ってきましたが、そこのところをここまで掘り下げて描いたのは「見事」の一言ですね。京介の場合「自称・平凡」なのではなく、身の丈を知った上での「平凡」発言であり、そして「平凡である自分」を知っているからこそ、奇跡や「都合よく目覚める秘めたる力」なんてモノに頼らず、自分に出来る精一杯――泥臭くてみっともなくて全くスマートじゃないやり方で、妹達の「人生相談」を解決しようと奮闘する、本当に「普通の青年」なんだと。
今まで徹底して描かれてきた「普通の青年が体当たりで問題解決に当たる」という「俺妹」という作品の構造の言わば「原点」が、今回描かれたという事になりましょうか。
そして、優しく京介の心を折る麻奈実さん、マジ黒いです! マジギレしてクラスメイト一同を迫力で黙らせる麻奈実さん、マジ魔王です! この物語のラスボスの正体が明かされたという事になりましょうかw
まあ、そんな訳で、高坂兄弟の原点というよりは高坂京介という主人公の掘り下げがメインだったのかな、という印象の11巻でした。

で、気になったのが京介と櫻井さんとの再会時の以下の件。

三年前でも、今でも、答えは同じだ

これって三年前の視点だと京介の好きな女の子って麻奈実しか候補がいないので、読み方によっては「京介が今好きなのは麻奈実」とも取れてしまうんですが、その後の

俺は今度こそ、自分から告白すると決めたんだ。

という件と今までの流れから考えると、やっぱり「黒猫の事が好き」という事になりますが……。まあ、もう一つの可能性として三年前も今も京介はガチに妹ラブな近親相姦上等兄貴、という手もありますが――そんな展開はエロゲーだけにして欲しいものです。*2
追記:京介の「三年前でも――」発言は櫻井への気遣いで実際には三年前に自分がどう答えたかは京介にもわからない、という可能性もあるなー、と。

そして、やけにあとがきの後ろが分厚いな、と思ったらまさかの12巻プロローグの収録&「次巻――最終巻!」という予告。いやまあ、電撃文庫って案外引き延ばししないで綺麗に終わらせるシリーズも多いから予想をしていましたがね? それでもやっぱり衝撃的というか寂しいというか……。
各ヒロインの心のうちも語られ*3、文字通り12巻は最終決戦となる様子。
やっぱり黒かった麻奈実さん&あくまでマイペースな加奈子。
いつの間にやら仲良くなり、二人そろって桐乃に「決意表明」する黒猫とあやせ。
卒業したら海外に拠点を移してモデル活動する事を決意していた桐乃ですが、彼女らの想いを受けて――

あたしだって卒業までに、エロゲーよりすっごいことしてやるんだから!

――って桐乃さん、まさかの近親相姦やってやんよ! 発言っすかwww
いやはや、制作陣は「ホームコメディだから過剰な展開にはならない」みたいな事をインタビューで度々語っていたようですが、これは油断ならない最終巻になりそうです。



ちなみに、本編では出番が殆どなかった黒猫さん*4ですが、彼女を主役にしたスピンアウト漫画、無事第二巻の発売日も決まった模様↓

*1:でも、どうせなら続・俺妹Pの攻略対象に含めて報われた未来も見たかったなぁ、と欲張りにも思ったり。

*2:むしろエロゲーなら大歓迎なシチュエーションでござるよ、ソランザム!!(?)

*3:ヒロインの中で沙織のみ京介に対する想いが語られませんでしたが、彼女の場合既に黒猫に託している、という事なのでしょう。

*4:しかし他の面々が「告白する」だったのに対して、黒猫は「告白される」だったのが印象的です。まあ、麻奈実はもっとエグイ事言ってますがw