たこわさ

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映画版「テルマエ・ロマエ」感想

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

今更ながら鑑賞してきたので軽く感想をば。
(以下、ネタバレ)
原作の魅力は「馬鹿馬鹿しい事を大真面目に描く事で醸し出される面白さ」、つまりは「シリアスな笑い」であると思いますが、この映画版はそこのところをよく理解した上で作られているな、というのが第一の印象。
荘厳な音楽や大規模かつ本格的な古代ローマの街並みを再現したセット、大量の現地エキストラ、そんな舞台の上で主人公ルシウス(もちろん古代ローマ人)を演じるのが阿部寛という壮大なギャグからしてまずは掴みはOKという感じ。しかも、劇中の大半が全裸というオマケつき。
しかもルシウス自身は常に真剣そのもので、殆ど笑う事もない。本当に真摯に風呂の事ばかり考えている。その姿がまた傍から見るとどうしようもない笑いを誘う。邦画にありがちな「安易にデフォルメ化して笑わそう」というあざとさがなくて実に良い。
危惧していた上戸彩演じるオリジナルキャラのヒロインも、この映画を一本の作品として成立させる上で欠かせない存在として上手く機能していたな、と。原作でも「自分は『顔の平たい顔族』の技術を盗んでいるだけなのではないか」と苦悩するルシウスですが、その彼に答えを与えられる客観的な視点を持つ人物として、実に控えめ*1に活躍してくれました。恋愛要素が完璧にヒロイン側の片思い、という所も良かったですね。
漫画原作の映画というと、どうにもB級になりがちな昨今ですが、本作のように「大真面目な馬鹿馬鹿しさ」を追求してくれる作品が生まれてくれるなら、まだまだ邦画も捨てたものじゃないな、と思ったり。

*1:出番の多さではなく機能として