たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

STEINS;GATE #24「終わりと始まりのプロローグ」感想

これが「運命石の扉の選択」か……。
(以下ネタバレ)
いい、最終回でした。いや、本当にこれだけいい最終回を観られるとは思っていませんでした……。

なかったことにしてはならない

紅莉栖を救う為には、「かつて自分が見た光景」を変えてはならない。つまり、「血溜りの中で倒れ付す紅莉栖を発見した岡部倫太郎」という事実を変えずに紅莉栖を救う必要がある――もし、その事実を変えてしまえば、岡部が世界線を漂流しα世界線からβ世界線へ辿り着いた事も、紅莉栖を救いたいという執念からタイムマシン開発に人生を捧げた事も消えてしまう。
逆に言えば、その事実さえ変えなければ、今現在を「なかったこと」にせずに、更には紅莉栖を救うことも可能、ということに。
困難なこのミッション。タイムマシンの燃料の問題もあり、チャンスはただの一度きり。岡部にとっても最後のチャンスだけれども、それは鈴羽にとっても同じ事であり、このミッションが失敗すれば彼女は後悔を抱えたままこの時代で生きていかなければならない。α世界線での鈴羽――橋田鈴がそうだったように。
そんな鈴羽に「俺が失敗する訳が無い」と尊大に言い放つ岡部。そこで、やっと笑顔らしい笑顔を見せた鈴羽が「バイト戦士」の笑顔と初めて重なったように見えて、早速涙腺を刺激してくれます。

未来ガジェットで勝利を掴みとれ!

岡部の策は単純明快。
未来ガジェット6号機「サイリウム・セーバー」の血糊で血溜りを再現し、そこに気絶させた紅莉栖を寝かせて置けば、「最初の自分が目撃した光景」を再現しつつ、紅莉栖を死なせずに済む事が出来る、というもの。
しかし、スタンガンなんてどこにあったんだw*1
肝心のサイリウム・セーバーを探す為に一堂を引き連れて家捜しするオカリンはマジドジッ子属性持ちですな。
そして、ラボで「なかったこと」になったはずの紅莉栖との記憶を語るまゆりがマジまゆしぃ。

ねえ、オカリン? 紅莉栖さんのこと、好き?

この言葉に込められた思いがいかに深いかは、前回のまゆりの表情を追っていれば分かるところでしょう。
何度でも言いましょう。まゆりは天使なんかじゃない。オカリンの事がとっても大好きで大切に思っている、優しくて、そして強い女の子なんだと。

再びあの日へ――

準備万端整い、岡部と鈴羽は再び過去へ。
まず、岡部が行ったのは、タイムマシン開発競争の火種となった論文が飛行機火災を免れた原因となった「まゆりの落としたメタルうーぱ」を中鉢の手に渡らないようにすること。
何故、中鉢がメタルうーぱを持っていたのかは不明だけれども、「まゆりがメタルうーぱを落とす」という事実さえなくなれば、中鉢がそれを手に入れる確率はぐっと下がる筈。
そして、次のミッション「紅莉栖救出」を達成する為に、前回と同じく紅莉栖と一回遭遇しておかなければならないわけですが……自分で自分を演じる岡部、中々堂に入っているじゃないですかw だけどどこまで演技だったのかなぁ、とも思い。「俺は、お前を、助ける」という言葉はついつい出ちゃった言葉のようにも聴こえますな。
その後の観察で、中鉢がメタルうーぱを手に入れた経緯も判明。まゆりが落としたうーぱを、まず紅莉栖が拾って、恐らくは論文の入った袋に入れておいた。で、それを中鉢がそのまま奪っていったので――これも「バタフライ・エフェクト」と呼べるのでしょうな。
それにしても、拾ったウーパを眺めて微笑む紅莉栖、まるで女神である。

鳳凰院凶真、参上!

全ての準備が整い、時を待つ岡部。だがその時、サイリウム・セーバーの血糊が固まってしまっている事に気付き……。代替案を探る最中も自体は刻一刻と進んで行き、遂に激昂した中鉢に紅莉栖が襲われる時がやってきてしまう。そこで岡部が思いついた策は――。
って、あの状況でノリノリにポーズを決められるオカリンの胆力に全力で吹いたじゃないかw スタッフ力入れすぎだろうwww
そして、中鉢を必要以上に挑発する岡部。激昂した中鉢の凶刃は岡部に向けられ――。
岡部の策、それは「自らの血を紅莉栖の血の代わりとする」というもの。その為にわざわざ中鉢に自分を刺させた理由まではちょっと分かりませんが、岡部は「この世界線で自分が死なない」という「確定した事実」を知っていたからこそ、あんな無茶が出来たんでしょうね。
恐らく、気絶しそうな痛みの中で、それでも「鳳凰院凶真」を演じて中鉢を追い払い、「俺は、お前を、助ける」という強い決意の元スタンガンで紅莉栖を気絶させ、そして……傷口に指を突っ込んで更なる出血をさそうだなんて……ここでの叫び声も計算どおりだとしたらオカリンマジ狂気のマッドサイエンティスト

ミッションコンプリート

文字通り命懸けの工作により、「最初の自分が目撃した光景」を再現した岡部。鈴羽の肩を借りながらその場を立ち去る際の「さよなら――」でもう涙が……。
オマケにかつての「自分」を見送って、

がんばれよ、これからはじまるのは、人生で一番長く、一番大切な三週間だ

って!! 一言も「辛い」と言わない岡部に再び涙。
そして、タイムマシンに乗り込み、岡部と鈴羽は未来へと帰還する――が、何か様子が違う。
そう、シュタインズゲートへ至る条件を揃えた今、世界線が変わろうとしていた。それは、今現在の鈴羽の消滅をも意味していて……。満面の笑みと「ありがとう――また会おうね、7年後に」の言葉にどれだけの意味が込められていたのか。α世界線でも、β世界線でも辛い日々を送っていたであろう鈴羽。まだ見ぬ彼女の未来が明るいものである事を願わない人間が果たしているでしょうか?

シュタインズゲート

そうして辿り着いた世界線「シュタインズゲート」。
この世界では、第3次世界大戦の引き金になった中鉢の論文は燃えてしまっているし、未来からやってきた鈴羽もいない。当然、まゆりも死ぬ事は無い。
そのまゆりが、岡部への見舞いの花束を持って病室――恐らくは腹の傷が原因で入院していた――を訪れると、岡部のベッドはもぬけの殻。
岡部を探すまゆりは、彼がラボメンの証であるピンバッジを配って回っている事を知る。ルカ子に、フェイリスに、そして新たなブラウン管工房のバイトとなった萌郁に。
萌郁とミスターブラウンがこの世界線でもラウンダーであるかどうかは不明です。不明ですが、萌郁とまゆりの握手のシーン、そして岡部の「いつでも、ラボを訪れるといい」という言葉に、「ああ萌郁は『赦された』んだな」と感じ、彼女達の平穏がしばらく続くであろう事を確信。
「おかえりン!」の言葉と共にラボへ戻ったまゆり。そこにも岡部の姿はなかったが、代わりにまゆりとダルの分のピンバッジが。そして岡部が箱にしまっていた「7年後に現れるラボメンNo.008」用のバッジ。まだ何も分からない、確定していない未来だけれども、きっとそれは鈴羽の手に渡ることでしょう。

そしてまだ見ぬ未来へ

一方そのころ、岡部は秋葉原の街を一人歩いていた。今はいなくなってしまったが、確かにこの世界のどこかで生きている最愛の女性、牧瀬紅莉栖の事を思いながら。*2
岡部が紅莉栖と過ごした3週間と少しの、だけでとても長く大切な時間は、もはや岡部の記憶の中だけにしか存在せず、今この世界で生きている紅莉栖にとって岡部との記憶は7/28のラジ館でのものだけしか存在しない。
だが、「それで十分だ」と岡部は思う。彼女が生きて存在している事、それだけで十分なのだと。決して諦観などではなく、恐らくは達観であろうその感情を一人抱えながら、アキバを歩き続ける岡部。だが、その時――。

――やっと、会えた

紅莉栖は、ずっと岡部の事を探していた。「命の恩人」である、彼を見つけようと。それに対する岡部の反応は――

俺だ、何故彼女がここにいる? 何? 俺が守れだと!? やれやれ、勝手な事を言ってくれる。まあいい、それが選択だというのなら。エル・プサイ・コングルゥ

久々のエア電話キタ――(゚∀゚)――!!
というかこれ、全力の照れ隠しですよな。オカリンったら最後までツンデレなんだから。だから、彼は彼女の事を「紅莉栖」ではなく、こう呼ぶ

また会えたなクリスティーナ

いや、だから! 私はクリスティーナでも助手でもないと! ――あ、あれ……?

今の紅莉栖が知らないはずの「助手」という言葉。まるで、α世界線で散々やっていた夫婦漫才の時のような口調。
もちろん、記憶が完全に残っている訳ではないし、今の紅莉栖はやっぱり「岡部と三週間を過ごした」彼女ではない。だが、全てがなくなった訳では、ない。だからこそ、岡部は彼女にこう呼びかける。

ようこそ、わが助手、牧瀬紅莉栖――いや、クリスティーナ

ここの「クリスティーナ」が物凄く優しい口調で、岡部がどれだけの愛を込めてその愛称を言っているのかがビンビンと伝わってきました。つーか、「私はクリスティーナでも助手でもないと!」の所で既に涙腺崩壊でしたわ!! しかも、ラボメンの証であるピンバッジを受け取って微笑む紅莉栖いや助手の笑顔が、もう、もう!!

これが、シュタインズゲートの選択だよ――

ゴッドオカリン大勝利! 希望の未来へレディ・ゴー!!
まさか、ここまでいい終わり方をしてくれるとは思ってもみませんでした。それこそ、二人は二度と出会わずに終わったり、再会してもやっぱり紅莉栖は「助手」としての自分なんてこれっぽっちも覚えてなかったり、そういったほろ苦い終わりを予想していただけに、「こんなにうれしい事は無い」と言わんばかりに、もう最後の方はボロボロと画面の前で年甲斐もなく感涙している自分がいましたわ。

で、このアニメ版と平行してPSP版ゲームも進めていて、それを昨日クリアしたんですが――これも凄い良かった。原作の圧倒的な出来の良さを知るとともに、アニメ版のクオリティの高さも再認識したというか。
原作ファンからは「何故あの場面をカットした!!」とか色々と文句を言われながらも、アニメ自体は大絶賛という荒業をやってのけたアニメスタッフの方々に、感謝を!!*3
この素晴らしい作品に出会えた幸せを噛締めつつ、劇場版も期待して待ちたいと思います。――エル・プサイ・コングルゥ

STEINS;GATE Vol.4【初回限定版】 [Blu-ray]

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*1:原作ではダルが急遽仕入れてきた事になっている。

*2:どうでもいいけど、ニコ動で見ていたら「もしかしたら、父の事でまだ悩んでいるかもしれない」を「乳の事で」とか字幕をつけている連中がいて全力で吹いた。

*3:アニメ版は細かい表情とか仕草でキャラクターの感情を表した時の巧さが半端なかった、という印象。