涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: ペーパーバック
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(以下ネタバレ)
我々は4年間待った!
4年間待たされた事を考えれば、必ずしも満足できる出来とは言えないんだけれども*1、やっぱり面白かった。
なんといっても、キョンの「やたらとグダグダと続くけど実際にはあんまり意味の無い長回し」が健在でそこが嬉しいの何の。ハルヒ以降の一人称系ラノベでもやたらと主人公の長回しが多いものが多数あったかと思いますが、それらがなにやら説教臭かったりなんらかの伏線を含めようとして失敗してたりただ単に読みにくいだけだったりした事に比べると、やっぱりキョンのそれって「あっても邪魔にならないし無いとむしろ寂しい無駄な部分」なんですよね*2。
物語の構成について
物語のギミックは「分裂」の時点である程度予想が付いていたので驚きこそ無かったけれども、一気に読むとちょっと混乱しそうになったのでそこは作者の術中に上手くはまってしまったかな? と思いました*3。
熱血キョンにキュンキュン
さて、「消失」以降、積極的に事件に立ち向かっていく姿勢が明確になったキョンでしたが、本作でもその姿勢は健在で、そんな「熱血キョン」が好きな人にはたまらない展開だったのではないでしょうか? そしてもう一つ、「消失」以降で彼が自覚するに至った「自分にとってハルヒがどれだけ大事な存在か」という所も、本作で再びクローズアップされています。
正直、「消失」以降の短編・中編では「長門がメインヒロインじゃね?」的な話も多く、キョン→ハルヒへの気持ちというのがイマイチおぼろげになっていた感触がありました。なので「で、キョンよ結局どうなんだ?」とモヤモヤする気持ちもありましたが、本作では全て吹き飛んだ、と言っても過言ではないでしょう。
本編を通して、キョンが見せるハルヒへの一途な「愛」*4がその熱血ぶりと相まってなんというか、キュンキュン来たというか(キモ
落下するハルヒを見て後先考えずに飛び出して抱きしめるところとか、数年後のハルヒの姿に見とれてしかも「隣にいるのが俺じゃなかったら」とか思っちゃうところとか。それでいて普段のハルヒに対する態度は至極冷静を装ったりするとか。実にキョンらしいツンデレ振りでございました。
佐々木というキャラクター
一方、「分裂」及び本作のキーキャラクターである佐々木の存在も良かった!
キョンの事を「親友」と呼び、意識的に男言葉で話す、国木田曰く「変な女」ですが、彼女の――キョンと違って実は内容のある――饒舌さとキョンとの絶妙な距離感の演出が実にステキでした。
彼女のキョンに対する「好意」をどのように捉えるかで、佐々木と言うキャラクターへの印象が大きく変わってくると思うんですが、私的には「佐々木さんマジ健気」という印象が残りました。
イヤだなあ。まるで告白でもしているみたいじゃないか。誤解されるのは僕の本意ではないのだけれどね
この台詞とソレに対するキョンの反応がね、もう……。「親友」とはよく言ったものだな、と。
ハルヒの驚愕
さて、毎度おなじみ「タイトルの元ネタとなっているシーン・設定」ですが、まさかあんなシチュエーションでの「驚愕」だったとは。キョンは単純に「見たことも無いほどの驚愕の表情」と評しているけれども、実際にはその「驚愕」にはどんな感情が込められていたんでしょうねぇ? また一つ映像化が楽しみなシーンが増えてしまいましたわw
さて、他にも本気で怒っている古泉の姿がなんか嬉しかったり、みくる(大)がさらっと「未来は変えられる」的な事を言っていたり、谷口の元カノの衝撃の正体が判明したり、と色々と気になった部分はあったんですが、細かくなりすぎるので割愛して、今回の感想を終えたいと思います。
次回作が果たして出るのかどうかすら怪しい所ですが、是非ともお願いしたい所ですね。もちろん、アニメの第三期も。