たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

「狼と香辛料 XVI 太陽の金貨(下)

遂に「本編最終巻」。
(以下ネタバレ感想)
時折耳にする本シリーズへの感想に、「ロレンスがデレてからが長すぎて中だるみした」というものがあります。
確かに、ロレンスとホロのなんとも言えない距離感がこの作品の魅力の一つでもあったので、そこの所が大好きだった人達にとってはそれ以降の展開は食傷気味なものだったかもしれません。
しかし、つまるところホロとロレンスの間に横たわる「決定的に違いすぎるお互いの時の流れの速さ」は絶対に解消される事がない問題であり、それは二人がお互いを大事に思えば思うほど後々になって強い悲しみをもたらす決定的な出来事であるわけで、だから二人が果たしてどんな過程を経てどんな答えを出すのか? という所までがやっぱり物語の肝であるという事に、私は疑いの余地を持ちませんでした。
逆に、ロレンスとホロがお互いの気持ちを確認しあったところで「はいHappy End! 良かった良かった」と満足してしまえる方々にこそ疑問を持ったものです。エロゲやギャルゲじゃあるまし、と*1
そういった意味で、本作のラストにおいて、例えどんな痛みを伴おうともお互い以外のものは捨てて逃げてしまおう、と決意した筈の二人が、やっぱり困難にあえて飛び込む事を選び、そしてそれでも二人でいる事を続けよう、と決意した件を読んで心底「ああ、この作品のファンでよかったな」と思ったものです。
本編はこれで終わりですが、若干の短編とエピローグが予定されているとか。アニメ第三期が作成される事にも期待しつつ、「物語の余韻」の訪れを心静かに待ちたいと思います。

*1:しかし最近は終わりのないギャルゲという恐ろしいものもあるようですが。