たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

劇場版Fate/stay night - UNLIMITED BLADE WORKS

早くも観てきましたので感想をば(加筆修正しました)。
(以下ネタバレ)
観終わっての第一感想は「あー、良いプロモーションビデオだった。で、本編はいつですか?」でした。

作画クオリティは確かに「劇場版」の名に恥じぬものでしたが、肝心の脚本が延々とダイジェストを見せられているような構成になってしまっていて、非常に残念でした*1。「一本の映画」ではなく、「Fate名場面アニメ化映像集」になってしまっていて、見事に「映画への翻訳」に失敗しているな、と。
出来るだけ原作のシーンを回収しようと頑張ったのでしょうが、逆にもっと思い切った脚本にして、士郎・アーチャー・凛の心情描写及びバトルシーン中心のストーリーに再構成するとかした方が「映画」としての出来も良かったのではないかな、と*2

また、この作品単体で楽しめる構成になっていなかった点も残念でした。
恐らくは、原作ないしTVアニメ版を経験済みの層を観客として想定していたからなのでしょうが、本編での解説・状況説明系の台詞はほぼカット。士郎の唯一の魔術である「強化」や本来の能力「投影」の説明も皆無で、ほぼ前振り無しでいきなりアーチャーの剣を投影してしまったり、盛大にぶった切られたのにそのすぐ後のシーンで何事も無くピンピンしてたり*3。予め知識があれば脳内で補足できますが、それでもシーンとシーンの繋ぎの部分などで違和感バリバリな展開が多く、DIOのスタンド攻撃を喰らったポルナレフのような心持になる事度々。

アーチャーと士郎の対決シーンも、あれは士郎の体の中にある「鞘」による治癒の力、アーチャーと何度も邂逅する事によって士郎が魂レベルでその技術・経験を吸収していた状態だったこと、そしてアーチャー自身の「理想」への未練=折れない士郎の心、の三者がかみ合ったからこその士郎の勝利であるはずなのに、何だか素で士郎がアーチャーを圧倒したようにしか描写されておらず、恐らくTVアニメ版だけ知ってる人は何が何だかよくわからなかった事でしょう。

細かいニュアンスなども、TVアニメ版の時と同じく所々疑問符が付いたり。何で、セイバーが消えた時に凛から移植された魔術刻印が光を失ったの? とか*4
そして一番白けたのが、アーチャーが士郎に止めを刺そうとした瞬間に凛がサーヴァント召喚の呪文を唱えるシーンと、その少し後にアーチャーがUBWの詠唱を始めるシーン。
詠唱中、アーチャーもセイバーも何で棒立ちなのさwww
セイバーに関しては、アーチャーの蹴りを喰らってひるんでいる所だったからまだ分からないでもないですが、アーチャーは全力で剣を振り下ろしている最中にわざわざ止めて、凛の詠唱が終わるのを待っているものだから「何その合体シーンを律儀に待つ悪の秘密組織的な動きはw」と失笑しそうになりましたわ!*5

――以上、色々と文句をつけてきましたが、まあアーチャーはかっこいいし、ランサー兄貴もカッコイイし、凛はエロかわいいし、と「ファン向けの長編プロモーション映像集」と捉えてみればそれほど酷い出来じゃないかもしれません。声優さん達の演技も素敵でした!
とりあえず、劇場にもう一回足を運ぶ事はなさそうですが、DVD位は買うかな、型月厨としては。

*1:といっても、「何故あのシーン/台詞をカットした!」などといった所に目くじら立てているわけではありません。原作の長大な物語や要素を考えれば、約二時間の上映時間の中にすべてを詰め込むなんて素人目にも無理な話な訳でそんな所を批判してもナンセンスだし、「じゃあお前ならどこまで描いてどこを削るよ?」と問われても答えようのない、というか答えなんてない部分でもありますし。

*2:もちろんその場合は原作厨(私も含む)からのバッシングがあるんでしょうが、どちらにしろ今回程度の出来だったのならば原作シーン回収を諦めて映画としての完成度上げた方がナンボかマシだったような。

*3:そして「鞘」の事は全く触れられないまま終劇。

*4:令呪と魔術刻印は全く別物という設定の筈。

*5:TVアニメ版でも「キャラの棒立ち」が物凄く多くて失笑する場面が多かった。