たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

「僕はなんて言えばいいんだろう」

昼食後、散歩がてらに職場近くの広場を歩いていると、突然
「ちゃんとカメラの方見て!」
という怒声が聞こえた。
何事かと声のした方を見てみると、噴水を背にした小さな女の子とそれに向かって携帯を構えた女性の姿が目に入った。どうやら、母親が噴水を背にした娘の写真を撮ろうとしているらしいな、と思ったところで再び辺り一面に轟く怒声。
「ちゃんとカメラの方見て笑って!!」
激昂した母親に「笑え」と言われてまともに笑える子供がいたら見てみたいな、と思いつつ娘の方を見やると、けなげにも引きつった笑顔を母親に向けているのだが、母親の方はそれが気に喰わないと言わんばかりに三度目の怒声。
「ちゃんとカメラの方見なさい!!」
流石に娘のほうも耐え切れなかったのか、やがて甲高い泣き声が辺りに響き始めた。
親子の事だから、第三者の勝手な基準で判ずるのはいささか筋違いのようにも思えるが、それにしたって尋常な怒鳴り方じゃなかったし、傍目「娘を携帯カメラで撮影」という自分のやりたい行為が上手くいかなくて苛立っている姿にしか見えなかった。*1
それに対して私は、――そのまま背を向けて職場の方へ歩き出した。
きっと10年位前の自分ならば、今の私の行為にこそ怒りを覚えているんだろうなぁ、と思いつつ。

*1:育児に頑張りすぎてテンパッている母親が勢い余って子供を怒鳴りつけたりしてしまうのとは様子が違った、と思う。