たこわさ

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ふなつ一輝「華麗なる食卓」(31)

華麗なる食卓 31 (ヤングジャンプコミックス)

華麗なる食卓 31 (ヤングジャンプコミックス)

この漫画の感想を書くのも久々です。
(以下作品全体に対する重要ネタバレ含む)
さて、突然ですが私はよく知人・友人に「スミダは本当にツンデレが好きだなぁ」と言われるほどに、好きなキャラクターがツンデレに偏っているらしいんですが、自分的には「ツンデレ」というよりも「ギャップ」が好きなんだと認識しております。
「ギャップ」というのは、例えば
「普段物静かで大人しい女の子が突然生き生きと饒舌に語りだしてはっと我に返って赤くなって黙ってしまう」
だとか、
「普段は人を煙に巻いて楽しんでいる変化球キャラが、突然直球投げられてあたふたしてしまう」
だとか、
「誰もが子供っぽいと思っている人物がふいに見せる大人な態度」
だとか、そういったシチュエーションというか人物というかキャラというか、とにかく「普段とは違う、けれどもそちらも本当の顔」というヤツに物凄く弱いらしいのです。
あ、だからといって「ツンデレ」が好きじゃないって訳じゃないんだからね!? 誤解しないでよね!?*1
――それはさておき。
上記のように、私は「ギャップ」に弱い訳ですが、今巻ではまさしくストライクドギュゥゥゥン! なシチュエーションに出会ってしまいました。主人公マキトの腹違いの妹・恵の描かれた方がそれです。
恵というキャラは登場から向こう、ほぼ常に「無表情でクールなイメージ」で描かれてきていたと思います。静かにほくそ笑むような事はあっても、感情を前面に出したようなリアクションは、ここまでほぼ皆無でした*2
それが今回、今までの無表情さが嘘だったかのような表情や態度を見せてくれました。
3年前に植えつけられたトラウマを振り切り、「(料理は)楽しいに決まってるやん!!」と涙を浮かべつつも最上の笑みで言い放つその姿。そして、その後全てのシーンでの表情の変化
上記のように、恵と言うキャラクターは、殆どのシーンで無表情(というかどこか冷めた表情)を貫き、笑う時もニヒルさが抜け切らないキャラクターでした。それが、吹っ切れた後の表情の豊かさと来たらどうでしょう? 何気ない立ち姿も、腹違いの兄であるマキトが常に浮かべているような「自信に満ちかつ楽しそう」な表情が付きまとい、審査員の怖いオバチャンの追及や壊したキッチンの請求に顔を引きつらせるようなコミカルな表情まで見せる、既に別キャラと言っていいような描かれ方をしています。
だがそれがいい! と「ギャップ」好きとして断言させて頂きます。
そういえば、甲斐谷なんかも初期の頃は悪人顔だったのが段々と柔らかい表情を見せるようになって、過去の後悔を振り切った後には見違えるような自信に満ちた表情を見せるようになってましたね。
この手の、キャラクターの心情の変化がその後の表情の描き方にきちんと反映されているタイプの漫画*3というのは、何だか最近物凄く少なくなってきたようにも思えます。
カレーと微エロばっかり描いている印象がありますが、実はその手の描写をきちんと描けると言う事が、漫画家ふなつ一輝の真骨頂であり、この漫画が長寿連載となっている本当の理由なのかもしれません。

*1:というか、「ツンデレ」もある種この「ギャップを抱えたキャラ」の中に入るんですが。

*2:一巻前でスカートに顔突っ込まれた時のアレは除く

*3:ダイの大冒険」でのポップとかが好例でしょうか。まあ、あの漫画の場合「味方になると表情が変わる」ケースも多かったですがw