たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

漫画原作のアニメって難しい……?

最近、漫画原作のアニメがゴールデンとか深夜枠に多くなってきたので観る機会が増えたんですけれども、どうもどれも原作の良さを活かしていないと言うか、クオリティが低すぎると言うか。
以下、何話か鑑賞した物についての感想と考察。

BLEACH

原作は連載開始当初から追っている、かなり好きな部類に入る作品。
アニメ放映直後にチェックしたものの、あまりのクオリティの低さに愕然として観るのを止めていたが、時間帯が移ってから再び観始めた今もその感想は変わらなかった。
まず、声優が全体的に合っていない。マシな配役もあるけれども、メインの六割が原作イメージと乖離している。一番酷いのは主役の一護。濁声でただ叫ぶだけで、迫力も何も有ったものじゃない上に台詞回しが下手すぎる。あれじゃあ、ただのガラの悪いクソ餓鬼。
アクションシーンも全く描けていない。もちろん、原作の独特の味をアニメーションで再現するのは至難の業だが、それ以前の問題。あまりにもクオリティが低過ぎてお話にならない。
まず、スピード感が無さ過ぎる。原作のアクションの魅力はそのスピード感な訳だが、それを無理に動画として再現しようとして見事に失敗している。直前まで超高速戦闘をやっていたのに、いきなり動きがスローモーションのように遅くなるのは、一体どんな理屈からだろう?
また、キャラクターの体さばきがまるで人形のようにぎこちない。一護が大刀を振り回すシーンで腕だけ動いていて体がビクともしないとか、そういうものが多すぎる。
夜一が砕蜂の技を一瞬で相殺してしまうシーンも、いきなりスローモーションで「どうやって相殺したかの詳細」を流しておいて、砕蜂が「この一瞬で!?」と驚く様は視聴者から観れば疑問符であろうに。普通に考えれば、まず「何が起こったのか分らないくらいの一瞬」のシーンを流し、然る後に砕蜂がその様をスローモーションでフラッシュバックしながら恐れおののく、という方が流れとして自然だろうに。
一番酷いのは、原作のディテールを全く無視している所。例えば、「尸魂界」編のライバルキャラたる白哉の能力「千本桜」の描写。原作だと、一護の能力のイメージカラーである「黒」と対比する形の「白」で描写されているのが、アニメ版だと「桜」からの安直なイメージであろう桜色に。折角二人の死闘の最後が「黒と白のぶつかり合い」という対極的なイメージで描かれているのにそれが台無し。
他にも、無駄な時間稼ぎ*1をしておいて、その一方で原作に存在する重要な台詞を省略してしまっている例*2など、アニメ版脚本担当の自慰としか思えないような部分が多数。
過去放映分をチェックすれば、もっと阿鼻叫喚の地獄が待っていそうな気もするが、私はマゾではないのでそれはパス。

ぱにぽに

原作はナンセンスB級学園コメディ。やはり連載開始時から読み続けていて、私的にはかなり好きな部類に入る作品。
第1話の冒頭を観た瞬間にチャンネルを変えそうになった。なんというか、原作と方向性が正反対というか全くの別物と言うか。類型的漫画の「あずまんが大王」や「School Rumble」のアニメが、原作の方向性をよく理解した構成になっていたのを知っている人間としては、もうアホかとバカかとと言う感じ*3
原作はひたすらローテンションor空回りなハイテンションが続くなんともマッタリとした漫画で、その独特な雰囲気を生暖かく楽しむ類の作品なわけだが、アニメ版はオタク臭全開なパロディ*4とナンセンスを通り越して意味不明な演出の数々に支配された作品に成り下がってしまっている。
というか、原作通りの展開に前述の「School Rumble」で多用されていたような「エピソード同士の合間を埋める」手法をやっていけば十分にネタ切れせずに済むはずなのに、そこであえて「原作の要素だけを抽出して再構成」みたいな下手な手法を取り入れてしまったのは何故だろうか?
キャラクター初登場の時期のずれは、まあ商品戦略上仕方のないことだろうが、それにしても一部のエピソードを矛盾の少ない形で入れ替えれば良いだけの話。やはり制作者側の自己満足にしか見えない。

アイシールド21

やはり連載開始当時から(略
流石に最初の頃ほど気にはならなくなったが、やはり陰の主役たるヒル魔の声が酷すぎる。「Ya-!Ha-!」とか叫んでる時はむしろ良い感じなんだけれども、台詞回しが酷い、酷すぎる。
原作の愛読者ならばもちろん知っているとは思うが、ヒル魔というのは普段は残虐非道な言動で周りを恐怖させる極悪大王だけれども、実は物凄くカッコよくて思慮深いキャラで、男女隔てなく人気があるわけで。それがアニメ版ときたら、前者の「極悪大王」のイメージばかり先行して、実に「頭が悪そう」に見えてしまっている。折角の名台詞の数々も、あんな緊張感の欠片もない声と台詞回しで語られたらただの迷台詞。
で、それより更に酷いのはキャラクター造詣のおかしなアレンジ。一番顕著なのは、当初ギャグキャラ・途中から渋キャラになった「ハァハァ三兄弟」長男の一文字。三人一緒だと相変わらず逆キャラ振りを発揮するが、ピンの時はかなりカッコイイキャラなわけで。それが、飛行機に乗る回の時に何故か「一人だけ高所恐怖症でイッパイイッパイになっている」という謎のアレンジが加わっており、原作のイメージと乖離しすぎている。原作を読んでいる人ならば、そういった役回りは戸叶か黒木だろ、とツッコまずにはいられなかった事だろう。
オリジナルエピソードも、入れる事自体はある程度しょうがない事だが、やるんだったらもっと上手く作れよ、という感じ。というか、結構隙間の多い作品なんだから、そこら辺から攻めていけばいいのに、なんであんなに脈絡がないんだろうか?

BLACK CAT

これに関してはチラッとしか見てないが、話はともかく作画はそれなりだった原作と比べると、話も作画も「……」という印象。
というか、原作よりも酷くする方が難しいと思ったのだが(苦笑

Angel Heart

……これについては、ちょいと言葉が見つからないくらい酷い。
上記4作品も、これに比べればかなりマシか。
原作もかなりアレではあるけれども、「割り切って読めば結構楽しめる」レベル。それがこのアニメときたら……。
神谷明の衰え具合もゲンナリ感の一因か。


以上。

*1:原作で描かれていない「合間」の部分の補完ではなく、余分な肉付け。特に夜一vs砕蜂戦の過去描写など過剰な部分。

*2:無駄な時間稼ぎをした同じ回で、一角vs射場戦の味のある台詞が省略されている。

*3:……まあ、これに関しては「アニメ化」というものをどういう基準で捉えているのかで評価が180度変わるわけですが、私は全く受け付けられなかったわけで。

*4:原作にもそこかしこに古今東西のオタクネタパロディが小道具として使われているが、アニメ版は「パロディの含まれる作品」ではなく「パロディばっかりの作品」になってしまっている。