たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

僕らのインターネットは死んだのか?

じっぽさんの文章にはいつも感心させられるし、(1)については私も肯きながら読んでいたのですが、(3)まで来ると少々ネガティブ過ぎやしないかな、と。
先日の言及で、私は「絶対数の増加が、ブームという物をコミュニティ無いに限られた形か、もしくはトップダウン的に全体に広がっていく形に二極化させてしまったのではないか」みたいな事を書いたのですが、逆の意味で言えば、限定されたコミュニティ――しかしながら決して少数群ではない――内でブームを起こす事は可能ですし、また色々な意味で話題沸騰のマイヤヒーFlashみたいにネット界を飛び出すようなブームも生まれているわけで。
(3)でじっぽさんは、個人サイトをパソコンゲーム業界になぞらえて、今後個人レベルで成り上がることが難しくなってくる、と結論付けてますが、そのパソコンゲームにしたって「月姫」や「ひぐらしのなく頃に」のように同人サークルレベルから一大ブームを起こした例もあり*1。また、一般のゲーム業界は年々増加する開発コストから個人参入など夢のまた夢のように思われがちですが、「アイディアを売り込む」類の新進クリエーターも決して少なくない訳で。
ここでちょっと他の業界も見てみましょう。そう、例えば漫画業界。
業界全体の膨張と競合する娯楽メディアの台頭で雑誌単位で見ると全盛時よりも売り上げを落としている漫画業界ですが、市場は縮小するどころかむしろじわじわと拡大し、また「有望な新人」が年々生み出されるなど、非常に活動が活発です。
「売れる漫画」の種類にしても、大手出版社の強固なバックアップによる関連商品・宣伝攻勢を基盤としエンターテイメントに徹した「プロデュース型」の漫画もあれば、愚直なまでに作家の個性に任せた作品作りに徹し限られた層からの絶対的な支持を基盤としてじわじわと全体にも広がっていく「職人型」の漫画もあるわけで。
話をネットに戻します。
結局の所、かつては公的な物もアングラな物も一緒くたの坩堝であったインターネットというものが、それぞれに色がつき名前がつき区別され分類されるようになってきただけなのではないかと。
なので、一昔前のような「カオスなブーム」を新進の個人サイトが起こす事は確かに難しくなったけれども、それはネット世界も区別化・差別化の洗礼を受けて成熟した結果であって、結局の所ブームの形が変わってきただけじゃないのかな、と。
市場が寡占状態になっても、その内新しい市場が開拓されて新たなシェアが創出されるのが世の常です。新たな「市場開拓者」の出現を待とうじゃありませんか?

*1:もちろんこの2作品は稀有な例だが、規模を落とせば類型はいくらでも見受けられる。