たこわさ

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チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)

基本的に塩野七生作品は、「小説」よりは「歴史読み物」みたいな感じがして、物語としては全く面白くないが、数少ない「物語としても面白い」例外の一つが本作。
むしろ、「チェーザレ・ボルジア」という題材を使ってつまらなくする方が難しいと言うべきか。
チェーザレ・ボルジアと言えば、政敵を次々に毒殺したとか実の妹と出来ていたとか、如何わしい俗説が付きまとう人物だが、本作ではそういった歴史上その存在を疑問視されている要素は極力排除し*1、武人や政治家としてのチェーザレに焦点を当てて描いている。
エンターテイメントやらとは縁遠い作品ではあるけれども、多少なりともルネサンス期のイタリアに思い入れがある人にはお奨め。

*1:風聞として作中に登場はする